Scribble at 2024-05-12 08:47:30 Last modified: 2024-05-13 09:38:42

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お客様の Dropbox チーム アカウントで今後予定されているファイル システムのアップデートについて

このほど、Dropbox で大規模な仕様変更があった。趣旨は不明だが、ローカル・マシンの Dropbox フォルダが変更されてしまい、法人契約している場合は「チーム(契約名義)」がフォルダ名に使われるため、これまでは「Dropbox(チーム名)」というアホみたいなフォルダ名だったのが、仕様変更後には「チーム名 Dropbox」などと変わってしまい、要するにパスが変わってしまったわけである。

まず最初に言っておきたいし、これは Dropbox のチームにすら言ったことがあるけれど、どれほど OS のファイル・システムが Unicode に対応していようと、フォルダ名、つまりはファイル・システムのパス名に日本語すなわち標準的な ASCII の範囲を超える文字を使うのは、設計思想として良いアイデアではない。これは何もクールでナイスな英語を優先しろとか、東アジアの田舎者の言語などコンピュター・サイエンスではゴミだとか言いたいわけではなく、端的に言ってコンピューティングの世界において ASCII の範囲を超える文字コードの運用は非効率だし、情報セキュリティの観点から言っても危険だし、何と言っても運用上のミスが起きやすくて、われわれヘルプ・デスクも担っている者としては困るのだ。ファイル名に日本語なんて使われると、いまでも正しく扱えないアプリケーションもあるし、パス名どころか URL でも平気で日本語をディレクトリ名に使い始める傾向を助長してしまうし、情報セキュリティや業務管理の観点から言ってもロクなことはないのだ。この程度は、いくらネトウヨや民族主義者でも理解できよう。

というわけで、せっかく世界中の Dropbox ユーザに大混乱を引き起こしているらしいのに、これまでの悪手というべきフォルダの日本語名を改善する気はなかったようだ。愚かな連中である。もし可能なら、Dropbox から別のクラウド・ストレージに移行する稟議を出してもいいくらいの愚行だと言いたい。

そして、この移行にともなって起きているのが、アカウントがドウキできなくなった・・・え、Google IME って「どうきできなくなった」の「どうき」に「同期」という候補がないのか。驚きだな・・・という問題だ。これは、主に httpd やら他の常駐ソフトウェアが従来のフォルダにアクセスしているため、フォルダの移動ができなくなっていることが大きな原因だったりするのだが、まぁ正直なところ一般的なパソコンのユーザにとって、自分の使ってるソフトがどこのファイルにアクセスしてるかなんて自覚や理解は無理だろう。たぶん、高校の「情報」科目でも灘高校レベルの生徒じゃなければ、そんなことに気づいたり自分で調べるスキル、それから好奇心(つまりたいていの人はコンピュータに何の興味もないわけだけど、それはしょうがない)なんてないわけで、既存のファイルにアクセスしているプログラムを特定するなんて手順(念の為に書いておくと、「リソースモニター」で CPU のタブから目当てのファイルにアクセスしているプロセスを特定すればよい)など分かるわけもないし、調べようともしないだろう。弊社のように distinguished developer でも chief privacy officer でもあるような IT 人材がいるわけでもなければ、おそらく世界中の企業でそれなりの混乱が起きていると思う。しかも、実は今回の仕様変更によってローカル・コンピュータ側の Dropbox 運用には何のメリットもないのである(チーム・フォルダのセキュリティを上げるだけなら、それはもともとクラウド側の特殊な共有フォルダなので、ローカル側のセキュリティには何の関係もない)。

とにかくね、保存フォルダ(パス)が勝手に変わったせいで困ってるよ。たとえば、httpd とかはパスに日本語とかが入ってると挙動がおかしくなるので、Dropbox のルート・フォルダ(フォルダ名は、いかに日本語が邪魔でも変更できない。これは Google Drive など自由に変更できるクラウド・ストレージと比べて大きな欠点だと思う)にジャンクション・ポイントを D:/root-dir などと設定しているのだけど、まずこれを変更して、このパスを使っている httpd.conf など幾つかのアプリケーションの設定ファイルも変更する必要がある。

さきほど全ての変更が完了した。終わってから新しい Dropbox フォルダを確認すると、僕の個人として展開しているフォルダが "Takayuki Kawamoto" 以下に置き直されていて、それと並行にチーム・フォルダが展開されている。したがって、今回の大変更はチーム・フォルダをローカル環境で個人のフォルダの下層に配置しないようにすることが眼目であり、或る意味ではローカル環境でのセキュリティにも関わるとは言える。なぜなら、チーム・フォルダである自覚もなしに外部の連中とファイルやフォルダを勝手に共有する人がいたりするからだ。それは困るので、チーム・フォルダのアクセス制御をローカル環境でも独立して(というか馬鹿でも分かるように目立つ仕方で)分別しないといけないというわけだ。

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