Scribble at 2023-08-05 09:27:20 Last modified: 2023-08-05 09:40:40

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Most promoted and blocked domains among Kagi Search users (kagi.com)

何日か前に、ウェブが分断されているというエッセイについて批評したとき、その著者は既存の検索エンジンは信用できないので(皮肉にも有料サービスの)Kagi という検索サービスを使っていると書いていた。その Kagi というサービスは、僕も少し眺めてみたのだが、検索結果から閉め出すドメインを指定できるという。その統計があって、上記の Hacker News で話題となっていた。

上位を席巻しているのが Pinterest 関連の FQDN であることに何の驚きもない。僕も自宅のマシンでは pinterest.com へアクセスする全てのリクエストを hosts ファイルで 0.0.0.0 にリダイレクトしているからだ。あんなもん、この宇宙にあろうとなかろうと僕の人生には何の関係もないね。確かに、何年か前の受託案件でソーシャル・メディアに関わることがあったから、そのうち何か Pinterest を表示できないと困ることはあるかもしれないが、それはそのときに考えたら良いだけのことだ。仕事だから「わざわざ対応してやる」までの話である。そもそもエンジニアである以前に、哲学者に Pinterest へアクセスさせるなんて人生の浪費を、電通から札束で殴られる以外に誰が命じられるというのか(電通ならいいんだ・・・そらそうだ。哲学者だって金を稼がなくては生きていけない。食べられなければ、哲学も生姜の味噌汁もクソもあるまい)。

あと、日本だったら「現役エンジニアが教える経産省官僚とのスケベ合コン」みたいなタイトルで、クズみたいな対談形式のページを乱造しているサイトがリストに加わるだろう。ああしたサイトは、昔なら Hatena キーワードのようなリンク・ファームなどとして Google SEO violation で Google 八分にされたものだが、まだ検索の上位に出てきたりする。

それから、Kagi の除外リストには地味ながら Quora も挙がっている。既に Stack Overflow ですら「知恵袋レベル」だと認識して英語版ですら(もともと日本語版は最初からクソだが)まともなエンジニアは使わないのだから、Quora なんていう逆にアホが集まってくるようなサービスは、検索の結果から除外するけれど、なんとかホイホイと同じで有効成分はそのままに放置しておきたいものである。

すると、最初のテーマに戻るようだが、こういうことをすると当たり前だが「分断」は生じる(とはいえ、それは主観的な区別にすぎず、実体として二つの集団やバーチャルな区画に分割されるわけではない)。バカはいてもいいが、俺はアクセスしないということだと、ネットには「俺が知らないバカども」と「俺が知ってるまともなやつら」の区別が検索エンジンによって作られてしまうからだ。そして、それは都内のインチキ左翼がわざわざ喚かなくても偏見や差別になりえるし、(バカも含めた)世間の実態に疎くなるという、たぶんだが「良くないこと」なのでもあろう。ただ、本当にそうなのかどうかは、実は誰も論証や実証したことがないわけだが。バカを無視すると、本当に「見識」とか「感受性」とか「人としての寛容さ」とかは失われるのだろうか。確かに、僕は当サイトでも「凡人」という言葉は使うし、ただの凡人は侮蔑の対象ではあるけれど、いなくてもいい人間だなんて言ったりはしないし、そんなことを前提に社会を考えたり論じるのは現実的でもなければ理想でもあるまい。どういう生物集団であろうと、凡庸な個体が大半を占めるのであって、その中の「一匹」に過ぎない僕が何をどう考えたり語ろうと、そのような生物学的な事実というか法則とすら言えるようなことが変わったりするわけはないし、変わるべきだという理屈も成立しないだろう。

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