Scribble at 2023-03-26 21:16:53 Last modified: 2023-03-27 11:30:34

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そうそう、例の BOCTOK-3 のブレードも撮影して、拡大した切っ先(切れ刃が付いていないから切っ先と呼ぶしかない)も見てみた。何倍なのか、実はよく分からないのだが、なかなか楽しい。そして、確かにこれで髭を剃るのは難しいのだろうと思った。

さきほどの ASTRA を撮影した、はっきりしていない切れ刃ですら、いくらか切れ刃は付いていることが分かるのに、BOCTOK-3 のブレードは切れ刃がない。これは、straight razor を研ぐときの基本とされる、spine(刀背)も砥石にくっ付けて研ぐという話を馬鹿正直にやったために、切れ刃のない真っ直ぐな刃になってしまったからだ。spine を砥石に付けるということは、つまり spine の形状だけで付く角度が研ぐ角度になっているということになる。したがって、10円玉で何個分ほど刃を浮かせて角度を取るといった、包丁を研ぐときの方法とは異なる。

でも、それは実は切れ刃を作るときのやり方ではない。いったん作った刃を使って髭を剃ったり、あるいは革砥などを使っているうちに切れ刃の角度が鈍くなり過ぎたときに、改めて切れ刃を作るための下準備として手前に一定の角度を付けておくやり方のことだ。よって、spine を当てていくら研いでも切れ刃なんて付くわけがなかったのである。切れ刃は、そういう YouTube などでナイフのマニアとか包丁の研ぎ師が解説しているような「剃刀の研ぎ方」で作れるものではない。あれは、切れ刃が既に出来ている剃刀の手前側を spine を当てて角度を小さくして研いでいるだけなのだ(彼らは顕微鏡を使わないから見えない)。よって、あれを何時間やろうと切れ刃は砥石に接触しないから関係ないのである。あんなやり方で50万円の天然砥石を使おうと300円のサンド・ペーパーの上をデタラメに撫でつけようと、切れ刃にとっては全く同じであって、しかも切れ刃を作る工程とは無関係であり無意味という点で同じなのだ。

ということなので、もう YouTube とかで、買ってきたばかりの剃刀を研ぐ様子とか、あるいは自分で剃刀の切れ刃を付けたこともない研ぎ師が剃刀を研ぐ動画とかを見るのは止めようと思う。彼らの多くは、たまたま切れ刃が付いている出来合いの剃刀を高級砥石で弄繰り回しているだけなのだ。そして、だいたいにおいて使い物にならない honing の動画というのは、「研ぐ」という説明しかしないものだ。何回やればいいのか。あるいは条件によって違うなら、その条件は何なのかを説明できない研ぎ師や剃刀マニアは、要するに最初から刃が付いている shave ready な剃刀を弄繰り回しているにすぎないのである。

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