Scribble at 2020-09-08 13:10:03 Last modified: unmodified

中国語の辞書を眺めていて(別に勉強しているわけでもないが)、そういや言葉を強調するのに傍点(圏点)を使う手もあったと思い出した。文章の一部を強調するのに、(1) 色を変える、(2) ウェイトを太くする(逆の事例もないわけではない)、(3) 下線を引く、そして (4) 傍点・圏点を付けるというパターンがありうる。他にも、いまではマーカーを引いたような太い線を引く事例も見かけるが(受験参考書など印刷物でも使われている)、これも下線として分類して良いだろう。

ウェブ・ページで文章中の一部を強調するとき、これらのどれを採用するかは論点にしてよい。他にも、引用するときに原典と同じ方法で強調するべきかどうかも論点になる。元の文章が太字で強調している表現を、ウェブ・ページで他人が引用するときに傍点へ変更するのは、或る種の「改竄」だと言われる可能性もあろう。なぜなら、こういう変更が全く問題ないなら、傍点どころかファンシーな花柄のマスキング・テープで工作したような体裁のマーカー状の線を引いてもいいということになるからだ。たとえばウィトゲンシュタインの『哲学探究』の一節で、そういうファンシーな柄の下線を引くことの是非は、もちろん《哲学的には》どうでもよいことなのだが、世俗的な感覚では非難の対象になりうるだろうし、ウィトゲンシュタイン本人に見せたらブン殴られる可能性もある。

それはそうと、自分自身の著作としてディフォールトの強調表現をどうプレゼンテーションとして定義するかは、再考の余地がある。もちろん、僕は本質的にはマークアップによる構造さえ維持されていれば満足だから、それをスタイルシートとしてどう定義するかは趣味の問題だと思う(よって、ファンシーな花柄として引用する人がいても、別にブン殴ったりはしないし、デザイナーとして柄や色の良しあしを批評したい)。ただ、これまでは文字のウェイトや書体を変える(明朝体が本文の基準であれば、強調している個所はゴシック体でウェイトを 700 以上にするとか)ことが多かった。下線も併用しているが、もちろんアンカー文字列と混同するので、単独で下線だけというのは使いたくない。あと、abbreviation のマークアップでもブラウザのディフォールトのスタイルでは下線が付くことがあるため、こういうものとの混同も避けたい。すると、なるほど傍点(主に縦組み)や圏点(主に横組み)という選択肢もある。ただし、text-emphasis はサポート状況が良くないため、無駄なマークアップを追加せずにスタイルシートだけで対処するしかないだろう。僕はマークアップさえ維持できれば、それをどうプレゼンテーションとしてスタイルで定義するかは、さほど気にしていない。よって、text-emphasis という傍点そのものを実現するプロパティを使わずに《傍点に見える》他のプロパティを代用しても、別に不正なコーディングだとは思っていない。

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