Scribble at 2023-11-14 11:10:48 Last modified: 2023-11-14 11:41:09

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僕は企業のセキュリティ技術者としても、それから Adobe Creative Cloud のユーザとしても Node.js という実行環境には多大な関心を持っていて、たいていはプログラマとしても情報セキュリティ技術者としても未熟な人間がサーバ・サイドで JavaScript を動かしてしまうオモチャとして、あるいは Adobe CC と一緒にどさくさでインストールされてクライアント・コンピュータのデータをプッシュ送信しているスパイウェアとして、Node.js というものに関心を払っている。要は碌でも無い使われ方しかしていないと思っているわけだが、もちろんまともな使われ方も多いのだろう。よって、端的に無視しているだけではなく、情報としては押さえておくのが妥当な態度というものである。

ただ、これはシステム開発や IT ベンチャーへの就職を考えたり、あるいは起業を志している若者に言いたいことだが、流行しているたいていのテクノロジーには「日本ユーザー会」と称する人々が出てきて、あるときは暇な主婦を相手にした手芸や料理やエステなどと同じく資格制度を立ち上げて姑息な商売を始めたり、たかだか関連ツールのメンテナーごときがご意見番を名乗ったりする。そうして、たまたま何かの伝手でオライリーや翔泳社あたりから翻訳とか入門書の出版に携わったりすると、彼らがどういうわけか勝手にイニシアチブを取り始めたりする。そうして、ベンチャー企業のエンジニアと IT ゼネコンの暇な R&D 部門の人員などが茶話会よろしく集まってきて、国内でのヘゲモニーを掌握するといった小文字の政治活動だけに必死となって、肝心のソフトウェアやプロジェクトのサポートが蔑ろにされる。

自慢でもなんでもないが、前世紀のネット・ビジネスやウェブ・アプリケーション開発の黎明期から、海外と国内の事情を30年ていどは眺めてきた人間として言うと、この手の「日本ユーザー会」に関わるのは止めたほうがいいし、こんなのに関わって長く生活や仕事の糧になるわけでもなければ、技術者としても殆ど成長しない(実際、こういう活動をしている人々こそが他のプロジェクトをサポートした経験から、新しいプロジェクトを立ち上げたり成功させた事例など全く無いのだ)。それこそ、GitHub などでそれぞれ自分がやりたいことをサポートとして始めている人達の方が、ドキュメントの翻訳にしても動きが速いし、そういう目的が決まっていると協力する人も同じ目的で意欲もあるので、プロジェクトとしても続きやすい。組織なんてものを運営することが自己目的化してしまうと、極端に言えば、そのソフトウェアやライブラリや技術に殆ど知識も技量も実装経験もなければ関心すらない人が関わってくるようになるのだ。

よって、たいていのソフトウェアや技術の「日本ユーザー会」なんてものは存続しない。こうしてサイトが廃墟のように残っていたとしても、サポートしているドキュメントのバージョンが極めて古いままで更新が止まっているため、どのみち使い物にならないと判断されて終わりである。すると、皮肉なことにオリジナルのプロジェクトまでオワコンであるかのような印象を与えてしまって、これでは悪循環である。したがって、存続する気がないならウェブサイトなんて閉鎖したほうがいいのである。あとは Wayback Machine にでもキャッシュしてもらえばよろしい。Yahoo! JAPAN が後ろ盾になっていてすら、このありさまである。日本の IT ベンチャーやネット・ベンチャーで技術を題材に色々とイベントを開いている連中なんて、結局はテクノロジーそのものには関心も熱意もなく、業界内での牽制関係しか興味がないのだろう。

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