Scribble at 2023-11-14 10:37:52 Last modified: 2023-11-14 11:52:36

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たいていの認証制度というのは、コンサルティングだけならただの助言なので、簡単に言えば誰でもできる。中学生が「コンサルタント」を自称して情報サイトを立ち上げてもいい。もちろんコンサルティング契約して法的な関係を取り結ぶことはできないが、自称だけならコンサルなんて誰でも言えるわけである。したがって、昔からみんな知っているとおり、「コンサルタント」と自称する人々には圧倒的に詐欺師や山師が多いわけである。自称そのものがインチキなんだから、助言の内容なんて推して知るべしであろう。

もちろん、プライバシーマークや ISMS といった情報セキュリティやプライバシーに関連する認証制度も、認証を受けるために大切なことが何であるかを助言するだけなら誰でもできる。コンサルタントを自称するために何らかの資格が必要なわけでもなく、あるいは僕のように電通や博報堂と取り引きしてきた会社で20年近くもプライバシーマーク、つまりは JIS Q 15001 という産業規格に準じるマネジメント・システムを運用してきたという実績なんて必要ないし、もちろん大学院を出ていたり、俺と同じくらいイケメンである必要もない。したがって、上記で紹介するようなインチキな事業者が続々と現れる。

もちろん、プライバシーマークの付与事業者である弊社の Chief Privacy Officer として、法令だけではなく制度を支える一人としても、制度を悪用されたり、制度に便乗してデタラメな商売をしている連中を見つけたり、叩き潰さなくてはならない。そういう仕事は、プライバシーマーク制度の主管である JIPDEC(一般社団法人日本情報経済社会推進協会)だけではなく、プライバシーマークを取得している事業者としての責任でもあろう。上のスクリーンショットは、武士の情けでリンクはしないが、渋谷にあるという自称コンサルティング会社が掲載している、プライバシーマークの付与事業者のリストである。もちろん、こんなリストをウェブサイトへ転載すること自体が不正な行いである。この一覧は、もちろん JIPDEC が一般にも公開している情報ではあるが、転載を許可しているわけでもないし、ほぼ全ての情報を転載することは著作権法で認められた「引用」でもなんでもないただのコピペだ。もちろん、プライバシーマーク付与事業者の担当者として、JIPDEC には通報してある。これ、しかも10年以上も前のリストだから、情報としても古くて不正確なんだよな。

という具合に、情報の扱いかたすら知らないデタラメな連中でも、コンサルティング業務を勝手に始められる。これが自由主義経済というものの一面でもあるからして、やはり騙されないようにするには自衛が必要だ。そのために大切なのは、第一に知識、第二に情報、そして第三にゴロツキを上回る狡猾さだ。だいたいにおいて、悪人から身を守る最善の態度は、悪人よりも冷酷になることだ。こういう手合を「知識も技量もないのに細々と頑張ってるねぇ」などと甘やかすからこそ、いつまでたっても無能やチンピラが簡単にプロを名乗って商売を始めてしまうのだ。消費者の最も簡単な自衛手段は、簡単に例外を認めない情け容赦のない判断を押し通すことである。もちろん、これは知識と情報を欠いていると簡単に差別や偏見になってしまうが、だからといって無能に情けをかけていると、その方が自分たちも余計な調べ物や考察に時間を使わなくても済むから楽なのだから、幾らでもデタラメを放置してしまうことになる。でも、結局は自分や周囲の人たちにとっても、それは良くないことである。

急いで付け加えるが、僕は無能な人間を社会から排除せよなどと言っているわけではない。それではネトウヨやリバタリアンと同じであり、保守の人間が言うようなことではあるまい。そうではなく、無能がプロとして仕事をするような欠陥を放置したり、個々の消費者が温情をかけることは、表面的には度量の広い良い人ぶった気分になれるのかもしれないが、結局のところ多くの他人に迷惑をかけることになるのだ。そういう人々を社会から放逐する必要はない。無能を追い出していたら、社会なんて崩壊してしまう。だって、世の中には凡人だけでなく無能も大勢いるからだ。そういう人々には、彼らなりに働けることがあるわけで、出来もしないことにみだりに従事させるのは自由でもなんでもない。職業を選択する自由はあるが、それで他人に迷惑をかける自由まで保障されるわけではないのだ。そして、何が他人に対する迷惑であるかを決めるのは、良い悪いはあろうと、やはりそのときの法令や規範や制度なのである。

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