Scribble at 2018-03-03 08:23:57 Last modified: 2022-09-24 23:46:59
ダーウィン自身が「進化」の概念を正しく捉えきっていない点があるからといって、進化論そのものが優生学を含意するかのように言うのは、著者がいかにユダヤ人だと言っても牽強付会の誹りはまぬかれまい。ただし、バーリンスキはウィトゲンシュタインの研究で学位を取ってから分子生物学や Systems Analysis などの研究に従事してきた人物なので、彼の『史上最大の発明アルゴリズム』(早川文庫)について書かれている書評で「分析哲学が専門」と紹介してる人はちょっと誤解があるようだけど、自然科学の一定の素養はあってものを書いているらしいから困惑させられる。philsci.info で『医学と仮説』の論評をやったときに紹介した市川さんは、バーリンスキと同じく Systems Analysis の研究者なのだが、面倒臭いことに両者にはそれぞれ違った判断が必要なようだ。