Scribble at 2022-03-30 17:49:14 Last modified: 2022-04-04 10:30:16

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2020年本屋大賞〔翻訳小説部門〕第2位

第10回Twitter文学賞〔海外編〕第1位

掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

上記のように Twitter でも話題になったりしたらしいが、Google で「掃除婦のための手引き書」という書名で検索しても "69,600 results" という寂しい結果だし、出てきた検索結果の9割以上が「アフィカス」どもの商品紹介やオンライン書店の商品ページである。文学研究者や学生あるいは読書家のまともな文章は殆どないに等しい(そういや編集工学おじさんには捕捉されてるんだろうか)。よって、マイナーな著作に自分も触れていて知ってるという、オタク的で役に立たない蘊蓄のネタとして綺麗に、それこそ掃除婦の仕事みたいに掃き流されてしまったのだろう。もちろん、アメリカ本国でもしょせんはそういうものだ。やはり後世まで名前を残そうとするのは一部の人々だけであって、商業出版物であるからにはマーケティングとして仕方のない経緯であろう。それを個人として口惜しいと感じる人だけが、やはり文章としても他人との会話においても何かを伝えて残そうとするものである。知恵とか、知識とか、個人の業績なんて、そんな簡単に世代を超えて積みあがったりするものではないのだ。

僕も、単行本が出始めた頃から書店で眺めつつ買いそびれていたものを、さきごろ文庫本になっているのを見つけてようやく買い求めた次第である。よって、もちろんアフィカスを初めとする〈いっちょかみ〉どもを愚弄する資格などなかろう。しかし訳者が熱を込めて書いているように、僕も冒頭の作品に目を通していて「やられた」と感じた。訳者の岸本佐知子氏の翻訳にも、だ。これだけは伝えておこう。もちろん、上記のアンカー URL に僕のアマゾンでのアフィリエイト ID なんて最初からつけていない。

「トニーは目を開けなかった。他人の苦しみがよくわかるなどと言う人間はみんな阿保だからだ。」

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