Scribble at 2021-10-01 10:30:50 Last modified: 2021-10-01 10:51:50

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近藤光男、志谷匡史、石田眞得、釜田薫子『基礎から学べる会社法』(第3版、弘文堂、2014)

「ビジネス本」の範疇になんとか入るが、どちらかと言えば実務向けのテキストと言った方がいいものだ。もちろん、これは法学部の学生や実務家の初心者が手にする本だが、ここから先へ進むかどうかに関わりなく、会社法全体の概観にも適していると思う。

本書は既に古い版となっていて、上記に僕が読んだ第3版のリンクは掲載しているものの、実際に読もうとする場合は最新の版を求めるべきだろう(現時点での最新版は2021年発行の第5版 https://www.amazon.co.jp/dp/4335358539/)。

とは言っても、会社法全体の構成が2014年当時と現在とで丸っきり違っているとは聞いていないため、2021年に上記の第3版を読むのが(会社について根本的な誤解を生じるほど)致命的に危険だとは言えないだろうから、実務家や司法試験の受験生を除けば、この第3版を通読しても大過ないと思う。会社法という法令全体の構成を手早く掴むには、読みやすいし、法令で規定されている趣旨(たとえば債権者の保護とか)も各々の条項について的確に書かれていて、よい本だと思う。

ただ、会社法という法令が商法から抜き出されて単独に成立したのが15年ほど前にすぎないのだから、これからどんどん調整が進んで法令の中身は変わってゆくのだろう。それは、僕が実務家としてかかわっている別の法令である「個人情報の保護に関する法律」にも言えることだ(というか、個人情報保護法については附則で3年ごとに再検討することが求められている)。そういう意味では、いちど通読したからといって、会社法の知識を補足する必要もなければアップデートしなくてもいいというわけではないだろう。よって、実務家や法曹でなくとも、書店の法律関連の棚や報道などで会社法の改正が大きな話題になっていれば目配せする必要はあるはずだ。もちろん、実際のところ会社法は大半の「会社員」には直接の関係はない法令である。会社法で言う「社員」とは株主のことであり、社長をはじめとする取締役ですら(出資していない場合は)会社にとっては業務執行の「機関」にすぎない。

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