Scribble at 2023-07-11 19:35:52 Last modified: 2023-07-11 22:47:50

事情はよく分からないが、YouTube で動画をせっせと公開していた GORO さんは、今年に入って動画を全く追加しなくなったようだ。YouTube の場合、動画を公開した正確な日付ではなく「７ヶ月前」などという不正確な表記をしているため、「今年に入って」という言い方が正確かどうかは分からない。ただ、最新の動画では11月15日に収録した動画にアフレコを入れたと語っているので、公開日はともかく、少なくとも昨年の12月以降はたとえ動画を撮影していても公開はしていないと言える。そして、同じく wet shaving の動画を公開してきた Ken-ichi Nomura という人物も、１年以上にわたって動画を公開しなくなっている。

わざわざ解説用のウェブ・ページまで作っているのだが、僕は日本は言うまでもなく、海外でも既に traditional wet shaving のブームというものはとっくに終わっていると思っていて、おおよそ2019年くらい、したがってコロナ禍がどうのこうのという以前の段階でブームは終わっていたという見解をもっている。したがって、彼らはブームにすらなっていない日本で、しかも海外ではブームが終わってしまった後に動画を公開し始めていたことになる。これは、彼らが仮に電通マンや博報堂の社員だったとしても難しい「仕掛け作り」が要求される仕事であったろうと思う。なお、僕はいちがいにこういう「仕掛け作り」をでっち上げとか利益誘導だと言って毛嫌いしているわけではない。こういうことは、半分は騙される方が悪いのであり、或る意味では凡人に対して常に加えられる文化的な脅威による試練だと考えた方がいい。実際、アクティブ・ラーニングなんていう広告代理店と文科省のでっち上げたインチキ教育学（これは、実は子供の個性や人権というアイデアを過剰に重視して指導要領を一つの「管理」だとか「権力」だと思い込む、インチキ左翼の教育方法論だ）にひっかかる哲学教員（僕の後輩だが）もいたわけで、なかなか人生勉強になる試練ではある。

ただ、彼らが日本で traditional wet shaving のブームを仕掛けるのに失敗したのかというと、僕はそこまでの意図はなかったのだろうと思う。まず Ken-ichi Nomura 氏は剃刀メーカーの社員でもなければ理容師でもなく、ましてやシェービングに関連する何か特別な技能や知識をもっているわけでもないのは、動画から明らかだ。それから、GORO さんについては、彼は趣味としての traditional wet shaving を勧めたり広めたいといったコメントは動画で語っていたけれど、当人はそれほど長く「情報コンテンツ」としてのシェービング動画を配信する意図はなかったのではないかと思う。実際、ときどきはパンを焼くとか、シェービングに関係のない動画も配信していたし、将来は髭剃りと関係の無い話をしながら髭を剃る動画を配信するみたいな話もしていたので、或る種の「キャラ立ち」を考えていたように思う（キャラとしてコンテンツが成立しなければ、無関係な内容の動画なんて誰も観ないからだ）。でも、正直なところキャラだけでチャネルを維持するには、いまどき1,000のフォロワーというのは目標が低すぎると思う。僕らが広告代理店と一緒に大手企業のキャンペーンで宣伝を依頼するインフルエンサーだと、その辺のどうでもいい料理好きの主婦とか、クズみたいなレベルの技能や知識しかない健康関連の人々とかでもフォロワーは数十万くらいいたりする。そして、目標にしていた1,000のフォロワーが集まったから意欲が減退したということなら、それは今後も展開の見込みはなさそうだと思う。でも、traditional wet shaving のオーディエンスとして期待できる人数なんて、なんだかんだ言っても数万人が限界だろうと思うので、あるていどまでやって諦めるのも一つの見識だと思う。実際、GORO さんが配信してきた動画で最も視聴回数が多いセッションでも 1.5 万回が上限である。僕のように何回も観ている（Craving Explorer でダウンロードなんてしてないからね、してないからね、してないからね）人もいるだろうから、実際にはフォロワーに加えて検索でたまたま動画を観た人を加えても、3,000くらいのユーザにしか影響力がない。何かを個人として販売するような目的であれば、或る程度の意味がある数字だとは思うけれど、ブームを巻き起こすなんてことは不可能だ。