Scribble at 2023-08-22 09:43:07 Last modified: unmodified

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「和英辞典不要論」について

当サイトで掲載している「英語の勉強について」という論説は、個々の話題を独立して取り上げている連作になっていて、その一つに上記のような和英辞典をテーマにした議論がある。ここでは、その補足として和英辞典の変則的な使い方をご紹介する。

それは、ごく簡単なことだ。つまり、和英辞典を国語辞典や用法辞典として使うということである。

中規模以上の和英辞典には、日本語の見出しの次に幾つかの英語表現が出ていて、英語としての用例が出ている。それと同時に、その訳文も掲載されているから、これは日本語の言葉を使うコロケーションを学ぶためにも使える。「正業」という見出しには英語の "honest occupation" とか "respectable job" といった、要するにカタギのまともな仕事という意味合いの表現が並んでいて、それと一緒に日本文と英文の用例が続く。たとえば、「息子は大学を出たのに正業に就こうとしない My son graduated from college, but he won't take on a respectable job.」(『オーレックス和英辞典』, 2008, p.913)。日本語文の偏見はもとより、英文としても中学生みたいなセンスで嘆息せざるをえないが、それは良い(本当は良くない)。ここで着目したいのは、「正業に『就く』」というコロケーションを学べるという点である。

そして、僕はたまに国語辞典や古語辞典を眺めて知らない言葉や絶妙な語感の言葉を見つけると「ぼくのじてん」と名付けたノートへ書き出しているのだが、和英辞典を眺めていても、そもそも見出しの日本語を初めて知るということがあるので、同じように知らない言葉を探すための本として使えるわけである。

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