Scribble at 2022-10-27 18:40:46 Last modified: 2022-10-27 18:43:20

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A Case for Correctly Rounded Math Libraries

偏見や民族差別を抱いているかどうかは自覚がないけれど、はっきり言って聞きにくい発音だ。英語を話しているとは思えないのだけれど、実際には生粋のアメリカ人でも似たような事情はあるんだよね。ドイツ系といった出自によって(そして出自によって先祖の住んでいた地方が異なるという理由もあって)訛りのような発音があるし、もちろん黒人、ヒスパニック、中国、韓国、ベトナム、ロシア、そして日本とか言われている辺境国家から移民してきた人たちにも僅かであれ訛りがあったりする。僕らが英語の教材で聞いているような流麗で聞き取りやすい発音は、要するに主要メディアの高学歴で訓練されたアナウンサーが喋ってる規格化された英語であり、決してアメリカの英語に「標準的な発音」などというものはない。よくネイティブの発音を教えるなどという触れ込みで教材を出版したりセミナーや英語教室を開いている人がいるけれど、たいていの人はアメリカ人を10人ほど色々な地域から集めたら「訛ってる」と言われるに決まっている。アメリカ人どうしで普段からそんな話を気軽なジョークにしているくらいなのだ。日本人が5年や10年ほど暮らしていたくらいで、訓練もなくアナウンサーになれるような発音などできるわけがない。

よって、僕自身はインド人の英語というものは聞き取り難くてウンザリするのだが、それを「英語じゃない」とか、いわんや「まともな英語じゃない」などと言うつもりはない。聞き取れないのは、簡単に言えば英語を運用する僕の能力が低いからなのだ。それこそ、英語の発祥地であるイギリスですらインド系の人が首相となる時代だし、ご承知のとおり主だった IT 企業の経営者は続々とインド系の人々に占められつつあるし、たぶん上記の Papers We Love で登壇する人にインド系のエンジニアが占める割合も増えていることだろう。それを現地の白人や中国人が苦々しく思うかどうかは、はっきり言って僕の知ったことではない。アメリカ合衆国というのは、国が誕生した時からずっと何かしらの差別を続けている、あらゆる差別の先進国だからだ。

もちろん、「"L" と "R" の使い分けなんて、インド人の『さんきうーべるるるりぃまっち』みたいな発音が通用するのだから些末な話だ」と言って軽視してはいけない。彼らの発音の是非はともかくとして、昔から注意せよと言われている発音のポイントをないがしろにすれば、結局のところお互いに意思の疎通が難しくなってトラブルが増えるだけだからだ。もちろん、インド人の発音を敢えて真似る必要もない。彼らの母国はロシアと通じているため、これからアメリカ国内で(もちろん良くないことだが)バッシングが始まる可能性もあろう。言葉の運用は、或る意味で処世術にもかかわる。英語がうまく話せないということ自体にも広く差別があるし、特定の人種や地方の出身であることを思わせる訛りが、その地域では反感を買うことだってある。たぶん日本でも、明治時代に福島県で山口弁を話していた人には、それなりのヘイトが集まっていただろう。そして先に書いたとおり、僕も小学生の頃は「おかしな喋り方だ」と同級生に言われ続けた。たまたま背が高くてスポーツもうまく、母親が PTA を牛耳っていたせいで、虐められるようなことはなかったのだが、状況によっては虐められていたかもしれない。

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