Scribble at 2020-07-29 08:23:38 Last modified: unmodified
スマートフォンの画面を親指だけで操作しているとき、たびたび感じることだが、マウスが使えないものだろうか。つまり、何かを正確にタップするという操作が、親指を画面の端から端まで動かすというのでは難しいし、敏捷に動かすのが難しいからだ。デスクトップ・マシンの画面では常人の使う5倍ていどの速度でマウス・ポインタを動かしているわけだが、それは要するに手元の僅かな動作だけで画面全体にマウス・ポインタを走らせたいからだ。よって、いまスマートフォンでは親指を使って全く反対のことをやっているわけで、これを苦痛と感じるのは当然だろう。これでは、Windows 95 が登場した当時の老人たちが画面にマウスを当ててポインタを動かそうとしていた笑い話の情景と大して変わらない。もちろん、その当時の間違いとは違って画面を指でなぞるのは正しい行為なのかもしれないが、外形だけで言えば労力の無駄遣いという理由で「愚行」と同じ挙動だと言っていいだろう。
IME にしても、親指だけで入力していると、指を動かす範囲が広すぎて誤入力が非常に多くなる。おまけに、スマートフォンの画面をたいていは傾けているため、奥に指が届きにくくなっていて、よく手前のキーをタップしてしまう。それから、タップとスワイプの判定が雑なのか、Gboard の GODAN で入力していると「K」が「G」と同じキーになっていて、「kyakkannteki(客観的)」が「gyakkanntegi」になることもあるし、そもそも「はっぴゃく」のような言葉を入力するために「happyaku」などと、スワイプで入力する「p」を連続して入力するなどという面倒臭いことをやらなくてはいけない。そういう意味では、まだ Qwerty のフルサイズ・キーボードの方がいいわけだが、さりとてスマートフォンではフルサイズのキーボードを表示して楽に打てるだけの広さがない。
HCI 全般の問題と言ってもいいとは思うのだが、マウスにしろ、キーボードにしろ、まだまだ人類の道具としては未熟なものだと言わざるを得ない。というか、恐らく満足のゆくデバイスが開発されるよりも先に、脳と何らかの電気的な通信を行うような入力方法が先に開発されそうな気もする(そういう技術の方が道具の開発の進展よりも時間がかかると論じるだけの正当な根拠はないだろう)。