Scribble at 2024-08-14 08:41:23 Last modified: 2024-08-14 08:42:02
バックアップの話と言えば、Windows にログインした際のスタート・アップにおいて、Dropbox のデスクトップ・クライアントが信じられないような負荷をかける。これは、使っている人なら誰でも知ってることだ。公式のヘルプでは「サーバと同期しているファイルが多いからだ」などとユーザに責任を転嫁しているが、プロのシステム開発、アプリケーション・エンジニアの立場から言わせてもらうと、明らかに原因は Dropbox 社のエンジニアの無能あるいは凡庸さであろう。現に、同じ仕組みを提供する Google Drive や Microsoft OneDrive のデスクトップ・クライアントは、Dropbox のクライアントに比べて(同期しているファイルの数は殆ど変わらないのに)負荷が圧倒的に低いからだ。同じ機能を提供していて、いわゆる非機能要件であるマシンへの負荷にこれだけの違いがあるのだから、これはファイルの同期という小手先のルーチンの設計だけではなく、アプリケーション全体の最適化が Dropbox では軽視あるいは無視されている明白な証拠だ。
また、他にも業務で使っていて問題はある。たとえば、以前もご紹介したはずだが、弊社では研修の動画を Dropbox に追加して、それの「ファイル・アクティビティ」のログで社員が動画を観たかどうか記録している。でも、どういうわけかモバイル・デバイスで Dropbox にアクセスするとファイル・アクティビティのログに記録が残らないという、実はかなり重大なバグがある。ログインしていない場合でもデスクトップなら「ゲスト」として記録されるが、モバイルだとアクセスした事実が記録に残らないのだ。これは、不正アクセスされてもわからないということでもあるから、もちろん Dropbox にチャットで伝えて「対応」はしてもらった。でも、記録されていなかったものが記録されるようになったと言われても、実は証拠がない。そういう問題が分かってから、弊社では研修の動画にモバイルでアクセスしないように通達しているからだ。ともあれ、こういう問題があるので、Dropgox でファイルを共有する場合は、かならず相手のアカウントを指定したり、あるいは社内であれば「チーム(法人の契約単位のこと)」メンバーだけがアクセスできる URL を発行して共有するように指導している。
といったわけで、会社の公式なストレージ・サービスとして Dropbox を導入して5年くらいが経過するのだが、色々な問題が分かってきた。しかし、だからといってすぐに他のサービスに移行するかと言えば、現実は難しい。既に何テラバイトも(広告代理店の倉庫係みたいに)大量のファイルを保管している社員が何人もいるからだ。そして、僕自身も退職者が使ったり作成したファイルを保管しているため、それなりに大量のファイルを Dropbox に格納している。
そして、実際に box や OneDrive などと他のストレージ・サービスに移行したところで、他のサービスに同じ問題や新しい問題がないとも限らない。正直、そんなことを事前に確かめるだけのために僕がプライベートなコンピュータに幾つものデスクトップ・クライアントをインストールして試すことはできない。もしそれをやるなら、会社のマシンに入れて、それをリモート・デスクトップで自宅から運用するくらいしか現実には手がないだろうし、そこまでの工数が僕がかける必要があるかどうかは疑わしい。一定の規模の会社になると、部下の何人かに任せられるから現実に検討できるわけだが、業容がデカくなると今度は多くの部署への根回しが必要になって、実際には会社で使ってるシステムやサービスを新しいものへ移行することは逆にどんどん難しくなる。おそらく、こういうことを是々非々で機敏にやれるのは、皮肉なことにビッグ・モーターのように専制的な経営をガバナンスだと勘違いするようなブラック企業だけであろう。