2018年07月08日に初出の投稿

Last modified: 2018-07-09

「後期高齢者制度」について調べている。昨日は図書館、そしてアマゾンでも調べてみているが、参考になる本は非常に少ない。連れ合いに指摘されたのだが、なるほど一つの理由として、この制度を運営する「保険者」としての広域連合ごとに細かい仕組みとか実務が違っていて調査が難しいという可能性はある。ただ、この制度は運営の主体者が各地の広域連合であっても、基盤になっているのはあくまでも国が制定した法令なので、一般論を議論するに何の支障もない筈だ。しかも少子高齢化というキーワードは既に何十年も出版・マスコミで取り上げられているのだから、テーマにする出版社や研究者がいないというわけでもないだろう。

出版点数が少ない理由として、寧ろビジネスとしての事情、つまり「発行者から売れると思われていない」からではないかという想定もできる。まず「後期高齢者」に該当する75歳以上の当人が本を買ってまで読むとは思えない。とりわけ日本の老人は本を読まない傾向があり、色々な統計を比べても、これだけ「若者が本を読まない」とかなんとか言われていながら、実は日本の60歳以上の人々は、おおよそ20代よりも読書する人の割合が少ないし、一人当たりの冊数も少ないのである。さりとて、「俗流経験論」とも言うべき、年寄りは経験があるから読まなくてもいいなどというタワゴトに何か社会科学的な根拠があるわけでもない。いや、そもそも「年寄りの方が経験に長けている」などという一般論(町工場の旋盤工のノウハウといった瑣末な事例ではなく)が成立するのかということを調べた社会学者など地球上に一人もいないと思う。つまりは学者にすら共有されている思い込みなのである。

よって、当事者である老人が読まないと想定されている可能性が高い。そして、10代や20代の若者が、社会福祉、分けても後期高齢者医療制度の本など、誰が率先して読むものだろうか。すると、後期高齢者の親をサポートする40代~50代くらいの中堅クラスにあたる現役労働者が読者層としてかろうじて想定できるだろう。こういう世代の人々を対象にして、それこそ株がどうとか IoT がどうしたといった話題の一つとして(親にかかわる)医療制度を取り上げても良さそうなものだが、まだ幸か不幸か年金だけで親が自立できてしまっているケースが多いので、自分達がサポートする必要を感じていない人も多く、「他人の」医療制度まで知ったことかという人も多いのかもしれない。そして、やがては自分達にもかかわる制度だと言ったところで、これまた多くの人は30年後の医療制度や社会保険制度など崩壊するかもしれないと思っているならなおさら、社会福祉制度など知っていても意味はなく、リスク対策として強力で普遍的な威力をもっているのは、やはり金と人間関係だと信じていてもおかしくはない。

僕自身は、二年前に(事情は忘れたが)里親制度について関心を持った頃までは社会福祉や社会保障について全くの無知だったと言っていい。実際、いまだに「社会福祉」と「医療」と「介護」と「社会保障」と「社会保険制度」の関連が正確に理解できていないところも多々ある。したがって、上記で述べたように、まさに50代になろうとする今まで、親や自分のこととして関心をもってこなかった。これらの話題については、少なくとも (1) 社会思想としての福祉や医療、(2) 経済システムとしての社会福祉制度や医療制度、(3) 法システムとしての保険制度や税制・財政、(4) 手続きや当事者の家計などの実務、という四つくらいの切り口で学んだり調べたりできる。もちろん、これら全てを一朝一夕に学んでしかるべき見識を積み上げられるくらいなら、明日からでもどこかの医療・福祉系の大学教授を誰かと代わってやってもいいくらいだろう。しかし、実際には (4) についてはともかく、(1)~(3) については丁寧に調べたり検討する必要があって、数年ていど(つまりは大学の学部で勉強するくらいの時間)では足りないだろう。しかし、逆に言えばいつから始めてもいいわけだし、とりわけ資料が限られているのであれば、他のもっと広範な分野の中で後期高齢者医療制度が扱われている事例を少しずつ拾い上げていけば、(1)~(3) については自分なりの見識を積み上げられるのだろう。特に (4) の実務については、自分が住んでいる地域の自治体で福祉課の窓口へ行ったり、介護・福祉・医療にかかわる各種の事業者や団体や機関あるいは NPO などに照会することで、短期間に色々なことを習得できる。

[追記:2018-07-09 09:07:11] それにしても、社会保障・社会福祉(定義によってどちらがどちらの下位区分になるのか、逆になる場合がある。こういうことがそもそも体系的な思想を欠いている証拠だし、哲学や社会思想の研究者に軽視されてきた証拠と言える)の法制度を専門に研究する人が殆どいないらしく、せいぜいリバタリアン的に社会保険制度を冷笑するバカがいるくらいのものだ。このような現状では、一方には旧来のただの左翼、他方には著作をものとせずひたすら官僚や与党に追従する利害関係者という構図は動かせそうにない。やはり可能性があるのは、歴史的・概念的(歴史性を伴わない保証はないが)な体系を打ち建てることだけではないか・・・ひとまずアップは始めようか。

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