Scribble at 2023-04-05 10:20:15 Last modified: 2023-04-05 10:32:58

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12 Websites Like Library Genesis to Download Free PDF e-Books

たまにこういうページを見かけるわけだけど、正直なところ建前を言ってんじゃねーよっていう印象が強いんだよね。なぜなら、実際にこれらのサイトへアクセスしてみれば誰でも分かることだけど、Internet Archive と Library Genesis が圧倒的な分量を誇っていて、他のサイトは論外と言ってもいいからだ。確かに論文についてだけは Google Scholar で PDF をダウンロードできることが多いので助かるけれど、それはどこかにアップロードされているというラッキーに頼るしかない。体系的に雑誌なら雑誌の単位で論文をアーカイブしている Internet Archive や Library Genesis には及ばない。

そして、もちろん Internet Archive や Library Genesis は数々の出版社や国から訴えられていて、SciHub のように出版社へ明白に敵対的なスタンスはとっていないにしても、いちおう大学や公の場では「良い子」は利用しないアングラ・サイトとして扱われている。ただ、その違法性はコンテンツによって違っており、Library Genesis のように殆どのコンテンツが違法にアップロードされている場合もあれば、Internet Archive のようにパブリック・ドメインとなった著作物の多くを手作業でスキャンしてデジタル化しているという、或る種の公共の利益に資するようなことをやっている場合もあるし、特殊な契約を結んで JSTOR などのコンテンツをアーカイブしている場合もある。

もちろん、ここ10年くらいの学術書を PDF として大量に読みたいのであれば、公には(つまり法的には)お勧めできないが、Library Genesis が圧倒的だ。誰がアップロードしているのかは知らないが、つい一週間前に発行された Springer や O'Reilly の電子書籍が即座にアーカイブされていたりするので、強い根拠はないにしても、業界の内部に「アップロード職人」がいるのではないかとも思う。それどころか出版前の下書き段階の書籍すら上がっていることがあるのだ(もちろん、著者が GitHub などで下書きを公開してコメントを集めている場合もあるが、そういう草稿には出版物としての表紙なんてない筈だ)。でも、Library Genesis にはユーザ・インターフェイスとして複数の条件で検索できないという致命的な使い勝手の悪さがある。また、通信も切れることが多いし遅い。これは世界中で多くの人が感じていることらしく、Library Genesis のフロント・エンドを名乗ると同時に独自のアーカイブも持っていた Electronic library というサイトが使われていた。しかし、あまりにも使い勝手が良くて多くの人々が利用していたし、寄付と称して金銭も集めていたため、FBI によって閉鎖させられるに至っている。僕もカタログ代わりとして眺めていたことがあるけれど、それこそ科学哲学でも参照する Synthese やら Philosophy of Science といった学術書のバックナンバーが殆ど(全てではなく欠落もあった)収められていて、それこそ何年か前にあった「Springer 祭り」どころではない壮観とも言える分量を誇っていた。まぁ、そんなサイトが出版社から訴えられないわけがない。

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