Scribble at 2022-12-20 17:44:19 Last modified: 2022-12-21 09:13:29
スタンフォード大学で、いわゆる PC でない表現の言い換えを大学のウェブ・コンテンツから排除するように推奨しているらしい。意図は不明だが、ページをパスワードで保護してしまったらしく、アクセスできる人が Internet Archive プロジェクトにキャッシュを作ってくれている。
具体例として幾つか見ておくと、"gender-based" な語句として避けるように推奨されているのが、まず "preferred" pronouns という言い方だ。最近は SNS で自己紹介を書くときに「she/her/her」とか「he/his/him」などと書いて自分をそういう代名詞で呼んでくれと書いたりする。もちろん「they/their/them」という人もいる。これを "preferred" だと言うことが差別だというわけである。つまり、他人からどう呼んでほしいかは趣味や好みの問題ではないのだ。
それから、よく呼びかけに使う "Guys!" というのも "People!" とか "Folks!" と言っている人も増えている。ただ、僕の感覚として "Folks!" とか "People!" という言い方には違和感がある(いかにも知識人が演台から庶民に向かって語りかけているかのような印象がある)ので、僕は "Everyone!" を薦めたい。なお、こういう呼びかけに "Everybody!" とは言えないというのは語感として勉強になる。
なお、こういう書き換えは徹底しているため、情報セキュリティで使う「中間者攻撃(the man-in-the-middle attack)」という表現も、"the person-in-the-middle attack" と書き換えることになるかもしれない。つまり略語としての "MITM" も "PITM" になるのかもしれない。
もちろんだが、このページを紹介している Hacker News では PC を揶揄するコメントも出てきている。たとえば、不公正や差別を排除するなら、中国人差別を繰り返したり、「泥棒貴族」の一人として莫大な富を築いて大学を設立した、PC の立場からは非難すべき人物の名前を冠している、"Stanford" 大学という名前は書き替えるべきではないのかという事例もある。