Scribble at 2025-02-18 07:19:49 Last modified: 2025-02-18 07:29:11

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PHPClasses

プログラミング言語ではよくあることだが、実はリソースの情報が少ない。とにかくウェブにたくさんあって、毎日のように増え続けているのは、殆どが金太郎飴のように十年一日のことをやっている初心者向けの解説ページや記事であって、何か調べると検索結果の上位に出てくるのは、やれ現役エンジニアが教えるなんとかみたいなページばかりだ。

実際、興味があるかどうか、知識があるかどうかはともかくとして、PHP でデザイン・パターンについて調べてみても、検索の結果は「PHP でデザインパターン」みたいな、初心者向けの解説や、あるいは既に他の言語で採用しているデザイン・パターンを PHP に応用する、という初心者向けの話ばかりであって、それらの基礎になっている考え方、つまりソフトウェア・エンジニアリングなりオブジェクト指向の設計なりという観点が欠落している、いわばカウボーイ・プログラミングの状況にあると言って良い。

もちろん、これは IT ゼネコンでは社内教育として用意されていたり、「コラボレーション」と称する下請け虐めや過剰なコーディング規約などにも結実していて、必ずしも有効に利用されているとは限らないわけだが(もちろん、ソフトウェア・エンジニアリングの用語が通じない相手を排除する参入障壁としても使われる)、アイデアそのものは単なる設計のパターンであるから有効であることは確かだ。

しかし、そういうことにも利用できるはずのリソースについて、この国の技術屋やライターといった人々は情報を持っていても開示しようとしない。簡単に言えば、独立して調べたり情報を共有する方法を素人に教えると、ライターだろうとセミナー講師だろうと大学教員だろうと、おまんまの食い上げになるからだ。つまり、この国の出版・マスコミ・報道、それから教育のような業界が常に自分たちで下方圧力をかけていて、情報の非対称性によって初心者から金を巻き上げることしか考えておらず、しかもそれを長年にわたってやってきたせいで、実は自分たち自身も高度な知識を身に着けなくても食えるという状況を作り上げてしまったというのが、この国から GAFAM に匹敵する事業が生まれなかった一つの理由だろうと思う。なので、上記のような PHP のクラスを集めたサイトに関する情報すら、PHP を使っている人々のあいだで話題になることはない。知らないからだ。そして、自分たちがこういうものをまだまだ知らないという自覚もなければ、知らなくても(ライターだろうと専門学校の講師だろうと下請けのコーダだろうと)食えるので、いまのところこういう状況が改善される見込みはないだろう。高校生が「情報I」を学ぶようになったところで、そういう状況は大して変わらない。

なお、リソースの情報が少ない事情の一つには、タイミングという問題もある。デザイン・パターンという一例だけに限って言えば、デザイン・パターンの議論が出てきて幾つかの古典的な著作が現れたのは、1990年代であった。なので、僕が手元に置いている『岩波情報科学辞典』(1990年)には項目がないし、デザイン・パターンの本を読んでシステム開発に従事していたプログラマは、ブログなどが流行しはじめた2000年代の初頭には若手のように情報を共有するモチベーションよりも、自分が技能を伝達したり教える側として情報を独占・秘匿するモチベーションの方が強くなる。ベテランのエンジニアが、海外とは違って日本では殆ど情報を発信しないのは、単純に下請けとしてのノウハウばかりが積み上がっているだけで底が浅いとかヘタレが多いというだけでなく、おそらくそういう事情があるのだろう。

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