Scribble at 2021-08-10 14:49:50 Last modified: 2021-08-10 14:54:37

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昨日は『ブルー・オーシャン戦略』を読んだのだが、ここ数日の間に読んだ幾つかのビジネス書には、品質・機能と価格・操作性とのあいだにトレード・オフがあるのか、それとも両立できるのかという点で相違があるように感じる。ということは、それぞれが自分たちに都合のよい事例だけに注意を払ったり、あるいは何らかの系統的な錯誤があって、特定の意見だけが導出されざるをえない事例だけを集めてしまう誤りがあるのではないか。それぞれが単に〈こういう事例がある〉と言っているだけでは、もちろん〈そうでない事例がある〉と主張している著作があるのだから、相手が事例の解釈を間違えているか、自分たちが自説に都合のよい事例だけで議論してしまっているか、それとも両方の理屈が間違っているかのどれかだろう。そして、お互いに〈仮想の論敵〉を打ち負かすような説得ある論証をしているとは思えないので、僕としては「品質・機能性 vs. 価格・操作性」という対比そのものが分析のアプローチとして間違っているか、あるいは単純すぎるのではないかと思える。

経営コンサルとかがよく持ち出すフレームワークやなんとか分析の類って、とにかく単純すぎるんだよね。でも、個々の項目を実行したり実現するのは非常に難しくなってるからこそ、プレゼンは簡単だが大多数の会社には実行が難しいという仕組みになっていて、永久にコンサルで金が稼げるようになっている。マッキンゼーやアクセンチュアを初めとするイカサマ師や、市井にハエと同じくらいいる経営コンサル、あるいは大半の経営学者も、しょせんはそんなふうにして食ってるだけの、昔で言えばソフィストの類なのではないか。そして、それを確かめるためにもビジネス書をせっせと読んでいる次第だ。

たとえば Sony の Walkman はポケットに入る音楽プレイヤーとして1980年代の若者に爆発的な人気を誇ったわけだが、あれを価格と扱いやすさだけに的を絞った商品としてトレード・オフを支持する事例に数えるべきなのか、それとも敢えて高機能や高音質を削ったという〈マイナスの作為〉も含めてバランスを取った成果として解釈するべきなのかは、一概にどちらの説明が正しいとは言えない可能性がある。そして、僕自身は WM-D3(WALKMAN Professional)を愛用していたので、個人の経験としては Walkman の音質がありきたりなラジカセを軽く凌駕していた記憶しかないためか、Walkman には「音質が悪い」という印象がないし、WM-D3 はラジカセよりも高価な商品だったため、手軽に買えるという印象もない。しかし、このハイ・スペックな Walkman も、再生しかできない廉価の Walkman に負けず劣らず売れた商品だったはずで、色々なタイプを展開していても Walkman というブランドは一貫していた。

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