Scribble at 2022-04-30 09:15:05 Last modified: 2022-04-30 14:12:54

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これは、いまやトップ・ページにすらカテゴリーが表示されなくなって、ハンバーガー・メニューを開いても「食品・飲料」や「ペット」あるいは「ホーム&キッチン」というカテゴリーよりも下に押し込められた書籍のメニューである。もちろん左が和書で、右が洋書だ。御覧の通り、パソコンやウェブに関わるカテゴリーがトップから外されていて、コンピュータ・サイエンスやネットワーク、あるいはプログラミングの本を探すには、ここから「科学・テクノロジー」→「工学」→「コンピュータサイエンス」と辿ってゆく必要がある。というか、ここまで辿っても実はシステム開発に関するカテゴリーは出てこない。どこにあるのか、もう探すのもバカバカしくなったので、いまだに僕も分からない。これは、ほぼ洋書でも同じことになっている。

確かに、昔から Amazon for Android というアプリケーションの UI は、セールスの結果に応じてメニューが変わる。それは僕自身の購入履歴にもとづく personalization と言うよりも、寧ろ大規模なセールス記録による統計的な計算の結果と言う他にない、消費者個人としては〈どうでもいい変化〉、いやそれどころか大多数の消費者の嗜好や利用目的と何の関係もない〈クズ変化〉と言える。これに抵抗する手段は一つしかない。それは書籍を、少なくとも Amazon for Android で買うのをやめることだ。ただし、禁煙や体力づくりについて僕が信じている方針と同じく、わざわざ強いて〈抵抗〉などという面倒臭い態度をとることではいけない。最も簡単で的確に実現する秘訣は、まるで昨日までそうであったように、当然のごとく何かを始めたりやめることだ。つまり、彼らが望む「ロボットのような消費者」として、違うプログラミングに従って、それこそ機械的に行動すればよいのである。自分に都合がいいロボットとして人が振る舞うことを望むやつらに対抗する手段は、それよりも高性能なロボットとして自らふるまうことなのだ。

それにしても、このような状況になっている一つの理由は、やはりコンピュータや IT 関連の書籍が売れていないという事情によるのだろう。もし或るジャンルの商品が売れているなら、メニューとしておよそ辿り着けない設計は常識に反する。売れ残りを敢えて積極的に店頭へ並べる工夫がないわけではないが、アマゾンでメニューのトップへ配置するのは Yahoo! のトップ・ページにバナーを出稿するていどのコストになろう。そんなことをして、売れていない商品が急に売れたり売り上げを挽回できるほど甘くはない。したがって、単純に優先順位が低くなったということは商品としての価値が日本の Android アプリケーションを使うアマゾンの利用者の動向において下がったということなのだろう。

確かに、たとえばここ最近は TechCrunch のような IT 関連のメディアが事業を停止したり、既存のメディアも話題になることが殆どない。C|Net や ZDNet や Impress やアスキーや日経関連のサイトなんてアクセスしてる方が逆に「情弱」と言われるくらいだ。要するに、有能な人間は既に海外のサイトしか見ていないし、無能は情報サイトすら見ていないという、ここでも格差が拡大しているのだろう。そして、有能な人間は、もともとオリジナルの(つまりは欧米の)ドキュメントやフォーラムだけでよいと割り切れば翻訳を読まずに済ませられるし、無能はそもそも本を買わない。それに加えて、このところオライリーの翻訳書だと5,000円ていどが当たり前になっていて、話題の開発言語やライブラリについて概略をつかんでおこうというだけの理由で読もうにも気軽に手が出ない。オライリーの原書だと平均して8,000円くらいになってきている。10年くらい使える UNIX の技術書ならともかく、JavaScript やクラウド・サービスの刹那的テクニックを読むていどで1万円近くも払うくらいなら、時間をかけてでもオンラインのチュートリアルを読み漁る方がマシというものだろう。

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