Scribble at 2023-03-27 17:05:44 Last modified: 2023-03-28 23:51:22

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書籍の場合、例えば本体価格1000円で100ページの本なら、ページ単価10円の10倍にあたる100円が1ページあたりの補償金額となる。これとは別に、各図書館が定める手数料がかかる場合がある。新聞や雑誌などは、最初の1ページが500円で、2ページ目からは100円ずつ加算される方向だ。

図書館資料のメール送信制度、利用者の負担金額は「ページ単価の10倍」に

以前も何度か書いた話なのだが、高知県のオーテピアという図書館に鹿持雅澄が著した『幡多日記』の翻刻版(幡多地区文化財保護連絡協議会)を複写依頼しようとしてメールが無視されている。よって、直に高知県へ出向くか、あるいは代行屋に相談してコピーを代行してもらうくらいしか手がないと思うのだが、上記のようなサービスが導入されて、本当に図書館がメールなどの依頼に対応してくれるというのであれば、遠方の図書館にしかない蔵書を読むための手段として選択肢の一つにはなるのだろう。

でも、それは資料によって条件が異なる。大部の自治体資料の中で数ページだけ複写してほしいということなら利点はあると思うが、『幡多日記』は70ページくらいある書籍であり、そして全てのページを読みたいので、そもそも著作権法から言って全てのページを複写することはできない。よって、形式的には複数回に分けて依頼する必要があろう。そして、それができたとしても別の問題がある。上の記事で報じられているように、いま審議されている内容からすれば、20ページの複写を依頼すると2,000円にもなってしまう。何回かに分けて70ページを全て複写で手に入れられたとして、合計で7,000円だ。正直、大阪から高知までの夜行バスの料金が片道で4,000円くらいなので、自分で高知まで行って図書館から借りだしてからコンビニで全てコピーしても大して変わらない費用である。高知県の図書館司書が20分ていどでやる工数と、大阪の利用者が往復で二日間かけてやる工数とでは著しい差がある(僕という人物の地位や身分を図書館の司書と比べても意味はない。人は、哲学者だろうと会社の部長だろうと、別に図書館の司書よりも尊かったり偉いわけではない)。

それよりも、ここでは無条件に1ページで100円と仮定したのだが、記事の説明では「本体価格1000円で100ページの本なら、ページ単価10円の10倍にあたる100円が1ページあたりの補償金額となる」ということなので、これは書籍のページ数と価格に複写費用が比例するということなのだろうか。そうだとすると、1万円で1,000ページの本だったら1ページの補償金額(複写コスト)は1,000円になるのか。それとも1ページあたりの単価などという雑な計算を基準にしているのか。いずれにしても、こんな高額な費用がかかるのでは、遠方から複写を依頼するしかない本に限って複写を依頼するための金銭的なハードルが上がってしまい、誰もこんな制度は利用しなくなるだろう。みんな夜行バスで目当ての図書館まで行くのではあるまいか。そして、直に図書館で借りだして近くのコンビニで(著作権法など知ったことか・・・)全てのページを複写するかもしれない。これでは(みんな全てのページをコピーしてしまうのだから)著作権法の目的にとって逆効果だ。

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