Scribble at 2023-09-17 01:24:19 Last modified: 2023-09-18 09:43:31

法人に生存権はない。

日本のエンタメをだめにしたジャニーズ事務所は解散すべきだ

ふだんはリバタリアンを「ひとでなし」と罵っているから奇妙な印象を与えるかもしれないが、僕はこの件については信夫君に賛成だ。法人は擬制としての法的な人格を与えられてはいるが、しょせんつくりものであって、法人に生存権のようなものは擬制であろうと設定できない。罪を犯したら、市場から撤退するのであろうと、組織犯罪として裁かれるのであろうと(日本ではせいぜい行政処分くらいしかないが)、何にしても商行為という意味での生存活動を続ける資格はなくなると見做さなくてはいけない。つまりは、「法人としての死刑」に処するわけである。

「ジャニーズ事務所が日本の芸能界を支配し、劣化させた弊害はきわめて大きい。日本の音楽が世界でまったく通用しない大きな原因は、ジャニーズ事務所が顔だけでタレントを選び、歌唱力も演技力も無視したからだ。」

これもまたしかりで、実質を評価する日本の若者が厳しい練習をして選抜される K-POP のアーティストを聴くようになったのも当然と言える。日本でも才能のあるタレントはたまに出てくるが、特に男性アイドルはジャニーズ事務所に妨害されるし、女性アイドルも長らく坂道アイドルと呼ばれる、金太郎飴みたいな外見と才能しかない歌って踊れるキャバ嬢というか、実は高校生でもなんでもないのにセーラー服を着てる天王寺駅前商店街の立ちん坊みたいなガキどもに市場を席巻されてきた。ネットが普及したことによって、コンサートと歌番組くらいしかメディアがなかったところへ、海外タレントのパフォーマンスを観る手段が加わったので、簡単なことだが日本のタレントがいかにヘタレであるかが日本の若者にバレてしまった。すると、あとは日本の少年少女を「国産」アイドルにつなぎとめる手段は三つしか無い。第一、「日本人」であることを強調するソフトなナショナリズム路線、第二、外見あるいは水着写真集だけで売れるタレントを集める、そして第三、「身近なアイドル」として握手会などの接触機会を増やすことだ。しかし、こんなことを続けてもきりがないし、ファンの要求がエスカレートすれば、遅かれ早かれ国内のアイドル産業は風俗と区別がつかなくなる。

こんなものは、もちろん興行なんて元から風俗と何が違うのかと言えなくもないが、やはり世界的な水準で眺めるとレベルが低すぎると言える。すると、せっかく才能ある人が出てきても、日本で評価される、売れるということに安堵してしまって才能が伸びなくなり、アイドルやらアーティストやらシンガーソングライターとして売れなくなってから「海外進出」などと言ってみたところでどうしようもないわけである(それが分かってる人々は、矢野顕子をはじめとして早々に日本の市場から脱出している)。

あと、この手の話題でよく見かけるのは、信夫君のブログ記事にもコメントでぶら下がっているように、「これ一つをどうにかしてもしょうがない」式のシニカルでペシミスティックな批評だ。つまり、この手の人々は、芸能界やエンターテインメントやテレビ事業など、ともかく「社会問題」などと言われる懸案事項のあれこれを一度に一挙に解決する、何かドラマティックで決定的な方法があるかのような妄想に取りつかれているとしか思えない。しかし、僕らのような保守主義の人間なら常識だと思うが、人の社会の問題にそんな方法は(おそらく原理的に)存在しない。そんな解決なんて不可能である。よって、一度に解決できないならやってもしょうがないという類のコメントは、簡単に言えば「私は何もやりません」と言っているに等しく、ものごとを一度に(しかも誰かが!)解決してくれる skyhook みたいなものを恋い焦がれる cargo cult みたいなものだと言える。よって、耳に入れる必要は一切ないノイズだ。

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