Scribble at 2023-01-16 09:59:34 Last modified: 2023-01-16 10:16:22

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Shavettes are sharp, they tug on your hair and are more prone to cut your face. Allow us to take a position. Replaceable blades are great for professional barbers who are concerned with hygiene, but at home, they really don't do you any favors

THE BEGINNERS GUIDE TO STRAIGHT RAZORS

替刃式の西洋剃刀について調べたり、紹介の記事を書き始めていると言ったのだが、その呼称について色々とウェブ・ページを眺めているうちに、やはり "shavette" という単語を一般名詞のように使うのは不適切だと思うようになった。こういう商標を道具の一般名詞として使う "generic trademark" の事例は、もちろん他にも「セロテープ」「セロファン」「アスピリン」「ドライアイス」「エスカレータ」「ホバークラフト」「トランポリン」「ビデオテープ」などとあるものの、"shavette" を替刃式の西洋剃刀の名称として使っていない小売店やメーカーも多々あり、決して一般名詞化したとまでは言えないようである。"protected trademarks frequently used as a generic term" となら言えると思うかもしれないが、これも正しくない。なぜなら、DOVO はアメリカで商標を何度か申請してはいるものの、実は取り下げているからだ。よって、アメリカでは商標登録されていないのである。なので、ウェブ・ページや動画で "shavette" という言葉を気軽に使っている人がいるのも仕方ないのだろう(牽制を目的として「商標登録申請済」といったフレーズは使われるが、あれは「正式に登録されたら問題になるよ」という予告にすぎない)。とはいえ、僕はどうも違和感があって、やはり "shavette" を DOVO の製品以外に使いたくない。DOVO の "shavette" は、少し調べたら分かるように、スライド式に替刃を装着するようになっていて、しかも頭髪用の長いブレードも使えるから、髭剃り用の短いブレードしか扱えない大半の自称 "shavette" とは構造が違うのである。それを味噌もクソも一緒にして同じ名称で呼ぶというのは、僕には納得がいかない。寧ろどうして替刃式の西洋剃刀の一般名称がないのか不思議なくらいだ。恐らく、西洋剃刀には ISO/IEC のような規格がないからだろうとは思うが(電気シェーバには、日本だと「JIS C 9614:1995 電気かみそり」、海外だと "EN 61254:1994 Electric shavers for household use - Methods for measuring the performance"という規格がある)、他にも西洋剃刀のメーカーで作る産業団体のようなものがないのだろう。

そして他にも、多くの人が "shavette" という言葉を敢えて使っている理由が考えられる。もともと DOVO が shavette を発売する以前からも、もちろん両刃式の剃刀を始めとして替刃式の剃刀は使われていたけれど、特に西洋剃刀のタイプが考案されたのは shavette が発売された1980年代よりも更に昔のことであり、戦場で衛生的に髭を剃ったり、あるいは手術時に体毛を剃るためであったとされている。したがって、DOVO の製品は "shavette type" の替刃式の西洋剃刀のオリジナルでもないのだ。これも呼称がややこしくなっている原因でもあろう。つまり、"shavette" という言葉を使っている人にしてみれば、「大昔からある替刃式の剃刀を DOVO の商品名である "shavette" という名前で呼んで宣伝してやってるのだ、逆に感謝してもらいたいくらいだね」というニュアンスが含まれている可能性もある。

ともあれ、そういう風にして呼称だけでも色々と面倒な事情があるため、なかなか正確な解説をするのは手間がかかりそうである。そして、それだけではない。そもそも替刃式の西洋剃刀(敢えて "shavette" と言うのを避けるために、今のところは「替刃式の西洋剃刀」と書いておく)が多くの場合に "barber" つまり理容室向けとされている点にも注意したい。いまでは、アメリカの各州で定められた法律により、アメリカの理容室では disposal な替刃を使った剃刀を使って、お客さんごとに刃を替えなくてはならないという規制があるため、少なくともアメリカの理容室では、ハンドル本体に直刃がある伝統的な straight razor が使えなくなっているのである。なので、classic (traditional) straight razor で剃っているのは自宅で自分の髭を剃るアマチュアだけという、皮肉にも逆転した事態になっているのだ。このタイプの剃刀が最低でも数万円の嗜好品としてしか流通しなくなっているのは、そういうわけで数の少ないアマチュア向けとしてしか販売できなくなっているからでもあろう。

ということなので、上記で紹介しているように、寧ろ替刃式の西洋剃刀は初心者向けではないという記事があったりする。替刃式の西洋剃刀を自宅で初心者が使うべきでないという理由の一つは、これがそもそも衛生管理を目的に普及したものだからである。多人数に、しかも出血する可能性がある施術を行う道具として、同じ刃を共有することは衛生管理という点で(もともと)問題がある。しかも、昨今では感染症の流行という大きなチャレンジがあるため、なおさら衛生管理には厳重な注意が求められる。そこで、こういう替刃式の剃刀を使うように理容室には規制ができている。しかし、自宅で自分の髭を剃るだけなら、替刃式の剃刀を使うほどの衛生管理は不要である(と上記の筆者は言うのだが、僕はそうは思わない)。また、替刃式の剃刀は頻繁に刃を交換すると常に鋭利な新しい刃を使うことになって、却って初心者には危険であるという。その他にも、替刃式の西洋剃刀には、伝統的な straight razor に比べて、

・扱いが難しい

・髭に引っかかりやすい

・すぐに血が出る

といった、初心者には不適切な特性があるという。うーん。僕は数週間ほど使ってみて、そんな感想はぜんぜんもってないのだが。僕は直刃の剃刀で剃るなんて怖いと思っていたけれど、GORO さんらの動画を観てから使い始めて、ものの数分で慣れた。もちろん、怖くなくなったわけではない。刃物だから、扱いを間違えると切るわけだし当たり前である。でも、適度な角度で丁寧に扱えば、安全剃刀でも血は出るわけで、そこまで怖がるものでもないと分かったのだ。それに、切っても実は大して痛くもヒリヒリもしないし、翌日には治ってしまうていどの傷でしかない(もちろん、そういう小さな傷でも困る人はいる)。そして、髭に引っかかるという印象もない。そもそも髭を剃りたいのだから、引っかかって何がいけないのか。"more of a tug on your stubble" なら、それは引っかかった状態で動かせば剃れるのだから、いいことではないか。これの何がいけないのか、よく分からない。あと、ちょっとしたことで切れるというが、それはそれだけ剃れるということなのだから、扱い方を慎重にする他はないだろう。確かに、刃が切れすぎるのは僕も困る。あまりにもアグレッシヴな替刃だと、剃れるけれど使っていて怖いのは確かだからだ。なので、幾つかの替刃を試してみてマイルドなものを選んでいる。でも、それだって極端になれば「刃」ではなく「板」で剃っているようなものになると、剃っている意味がなくなる。すると、角度を変えたり、同じパスを何度も繰り返して剃ることになるので、皮膚にとってはよくないと思うのだ。そういう、安全性と皮膚への負担についてバランスをとるには、どこまで剃れていたらいいかという基準の取り方にもよるが、僕としては替刃式の剃刀でいいと思っている。それに、straight razor はとにかく高い。使い勝手がいいものなのかどうかも分からない、結局は通販でしか購入できないものに、何万円も出すわけにはいかないのである。

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