Scribble at 2025-06-04 11:42:39 Last modified: 2025-06-04 12:24:12
ここで提案されているように、7ステップ以内で単語を関連付けて文を作れるとすれば、これは辞書や単語集の文例を作るのに絶大な威力を発揮するはずだ。もちろん、生成された文例はネイティブに読んでもらって統計を取ればいいわけだが、あながちそういうことをしない方がいい場合もありえる。
その理由のひとつは、しばしば辞書や単語集あるいは英文法や英会話などの本で「ネイティブが監修している」などと謳っている本の多くが、他人様に売りつけるには値しない品質の、英語が話せるというだけのアメリカ人の落書きに近いものだからだ。市橋敬三さんの『話すためのアメリカ口語表現辞典』(研究社、2007)の冒頭に掲げられている「本辞典の特色と、利用上の注意点」で詳述されていることとして、採用する表現なり文例をネイティブに「インフォーマント」としてチェックしてもらうにあたって、従来の辞書は非常に安易で拙劣な人選やアンケートの取り方を選んでいるという。そして、インフォーマントの採用基準としては、たとえば日本に長く住んでいる人物は採用しないとか、若すぎたり年寄りすぎる人物は採用しないとか、有力新聞や有名な雑誌の記事あるいは有名人の発言などを示して評価させるのは愚策であるとか(誰でも自分が無教養だと思われたくないので、こういう記事や発言には否定的な評価がし辛くなる認知バイアスがかかる)だ。よって、時間と費用をかけてインフォーマントを選び、そして或るていどは訓練する手間をかけない限り、六本木や渋谷でブラブラしてるチンピラ外人に表現をどう思うか尋ねるなんてことをしても、東アジアの辺境国家なんかにわざわざビザを取得してやってくる人間の基準で判断されるのがオチなのだ。セマンティックな計算で fluent であるかどうか、natural であるかどうかを自動判定させるほうが、英語を読み書きできるていどの凡人でしかないようなレベルのネイティブがもつ感覚よりも遥かに信頼性が高い。
日本の中高生も、上のような理屈を応用した「ゲーム」を利用して英語を学ぶことをお勧めする。実際、DuoLingo などの AI を活用したアプリケーションが高い効果をもつという報告があるし、対面で英語(英会話も含めて)を教わるほうがいいなどという、一部の英語教師の思い込みなど軽く粉砕してしまえる時代がやってくるだろう。はっきり言っておくが、リモートで英語を対面で学ぶなんていうサービスはリスクが非常に大きい。その最大の理由は、そういう安いサービスの「講師」は、たいていインド人や東南アジア人であって、そういう人たちに教えてもらっても、およそまともな英語の発音は身につかないからである(文法についても、アジア圏出身者の英語は構文などで特殊な例外があるらしい)。発音なんて大して気にしなくてもインド系や中国系がアメリカの IT 企業を率いているではないかと言うかもしれないが、そこには重大な見落としがある。Google のピチャイなどを始めとするインド人は、アイビー・リーグを出ている際立った才能と学歴の持ち主であり(ちなみに彼の専攻は IT じゃなくて材料工学だ)、英語の発音など度外視してもお釣りが来るほどの企業経営という実績をもっているという事実だ。実際、才能がないインド人もアメリカには数多くいるが、彼らはフィッシング詐欺の下働きやヘルプ・デスクをして日銭を稼いでいるにすぎない。そしてそうなっている理由の一つは、才能や学歴がないだけではなく、英語の発音がデタラメで多くの平凡な土地や職場で暮らすアメリカ人には嫌悪感を引き起こすからだ。もちろん、それは差別ではあろうが、言葉を習得するために左翼である必要はないのだ。