Scribble at 2021-03-02 09:43:30 Last modified: 2021-03-07 10:08:40

たまたま Hacker News で紹介されていた、Thomas Sowell という保守派のリバタリアンである経済アナリストのことを少し調べた。調べればすぐに分かるとおり、彼は黒人ではあるが、ハーレムに住んでいて高校をドロップアウトした後に、朝鮮戦争から帰ってきてハーヴァード大学へ進んだ後は、典型的なエリート・コースを歩んで、現在はスタンフォード大学の Hoover Institution に40年くらい務めている、言わば重鎮の一人でもある。

そのソーウェルが書いた新刊が "Charter Schools and Their Enemies" (2020) という本で、アメリカのチャーター・スクールという施設のことを書いている。チャーター・スクールをご存知の方はタイトルだけで趣旨が理解できると思うのだが、チャーター・スクールというのは教育分野における "gated community" だ。要するに、子供の頃から才能を見出された「神童」を掻き集めたり、白人の子供だけを集めて、リバタリアンという名の国家社会主義者(の思想)に都合の良い、管理され強制すらされる自由の名において、子供たちをアイソレーションしようというものだ。それを守ろうと、あろうことか黒人が喚き立てているというのだから、いったいどういう理屈でそういうことが言えるのか、興味はある。黒人がリベラルな本を書いても、それは良い意味でも悪い意味でも予定調和というものだからだ。

もちろん、子供たちを分けること自体は一つの施策であって、良し悪しは自明でもなんでもない。虐められている子供に、そのコミュニティで立ち向かえなどと言うのは漫画の読みすぎか、その手の状況でたまたま良い結果となった事例だけを取り上げるテレビ番組を観すぎた人であろう。公共の学校で色々な出自なり境遇の同級生と付き合うことが社会性を育み云々など、しょせんは悲惨としか言いようがない数の実態がある学校現場を知らない、テレビ的な結果論でしかものを言えない三流社会学者の寝言にすぎない。

とは言え、fragmentation とまで言えるくらいに好き勝手な教育を施す機関が増えていいかどうかは、これもにわかに良し悪しを語れないものだ。

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