Scribble at 2026-05-20 09:20:00 Last modified: unmodified
アメリカのミネソタ州が全米ではじめて予測市場を禁止する法令を今年の8月から施行するとのことだ。これは、予測市場サービス・・・もったいぶった言い方だが、要するに将来の出来事について先行する取引を行うことであり、ワールド・シリーズやスーパー・カップの優勝チームを予想する賭け事が典型的な事例だ。つまり、未来に起きることを「商品」として取引する事業は禁止というわけである。
まず最初に言っておくと、一見すると良いことのように思えるかもしれないが、これは思想として是非の議論が分かれると思う。将来の出来事について先行する取引を禁止するという発想は、単に守銭奴や博徒をぶっ潰す崇高なものというわけではなく、社会制度の思想という脈絡でとらえると資本主義を否定しているも同然だからだ。株式投資というものは、まさしく株式会社が達成すると見込める将来の成果について投資するものである。それまでの成果を評価しての投資なので、確かに経営陣にしてみれば、自分たちがこれまでにやってきたことのご褒美みたいに思うのかもしれないし、実際に株価が上がればそれに応じてご褒美として自分たちの報酬(経営陣は従業員ではないので、「給料」をもらうわけではない)を引き上げたりできるし、実際にそうしているだろう。だが、投資というものは未来に起きる成果のためにするものであるという事実に変わりはない。
ということなので、ミネソタ州の法令では、保険、証券、あるいは農産物などのコモディティの先物取引は規制の対象から外されている。そして、このようなミネソタ州の施策に対してトランプ政権の連邦政府にある CFTC(商品先物取引委員会)がミネソタ州を提訴していて、このような取引は連邦が規制するべきであり、州が独立に規制するべきではないという。それから、このようなサービスを提供している事業者は当然のように反発しており、Kalshi は「証券取引所を禁止するようなもの」だと言っている。このような事案でも言えることだが、アメリカの政治思想を理解するうえで注意しないといけないのは、いわゆる「リベラル」の制度設計や社会思想は、アメリカでは大きな政府を志向する官僚主義や福祉国家の理屈であり、「自由(freedom)」や「自立(independency)」の敵だと見做されるということである。