Scribble at 2021-06-17 11:35:35 Last modified: 2021-06-18 00:14:34

ただいま YouTube で流れている「意見広告」らしい。このような、「日本が韓国を近代化してやったのだ」とか「欧米列強の侵略からアジアを守ったのは日本だった」という傲慢な大東亜共栄圏信者（八紘一宇信者と言ってもいい）は昔からいるわけだが、色々な仕組みやレトリックを使って、無知な若者（だけではなく、いい歳をした連中もいるわけだが）のコンプレックスを補完して、自分たちが何か生まれながらにして高貴で徳の高い「聖なる民族」の一員であるかのような錯覚を引き起こすようだ。

こうしたクズのような思い込みや願望は、正常な先進国で高等教育を受けた人間であれば中学を卒業するまでに文字通り「中二病」だったと反省して放逐するものである。なぜなら、これは左翼だネトウヨだといった政治的なイデオロギーとは関係のない事実の話に過ぎないからだ。ところが歴史には「真実」があるなどと、これこそが中二病を引き起こすアマチュアのコンプレックスから唱えられる陰謀論の類から抜け出せない人々もいる。そもそも、物理学であろうと歴史学であろうと、人が現時点で知りうる「事実」や「理論」を超えた「真実」や「実体」を特定の人間が知っているとか気づいているとか我々に知られないよう隠しているなどという御託は、まともな学者なら誰も信じていない。こうした思考じたいが、アカデミズムに対する劣等感や羨望を抱えた素人に特有の錯覚や思い込みであるにもかかわらず、たとえばテレビ局の構成作家だとか、美容整形の医者であるとか、政治家だとか、そういう専門職なり地位によって、無関係で素養も見識もない分野についても何事かを語れるかのような自己欺瞞に陥りやすいのが凡人に限らず人の悲しくも愚かしい限界である。

なんにせよ、仮に朝鮮や中国が欧米列強の支配を受けることになった歴史を続けていようと、それに抵抗する権利というものは、それぞれの国の国民にこそ抗弁する主体としての源泉がある。日本が韓国を併合して救ったなどという詭弁は、要するに欧米の多国籍軍がアフリカや中東の人々を ISIS から保護することとはぜんぜん違う話であり、当時の欧米列強の代わりに日本が朝鮮半島や中国を占領したに等しい愚行である。韓国の人々が日本へ感謝すべきだと言うくらいなら、寧ろ、上記のように愚劣なデタラメを YouTube に出稿している者は、敗戦から10年そこそこで占領をやめたアメリカや、賠償として日本の領土を分割するよう強行には要求しなかった中華民国やイギリスやソ連に感謝すべきであろう。JWPC385/1 が実行されていたら、いまごろ僕は「アメリカ人」だ。純正の日本人がどうのと戯言を口にしている連中の多くも、いまごろは「ロシア人」になっていたかもしれない。