Scribble at 2024-11-03 23:38:42 Last modified: 2024-11-04 00:12:15
国内の新聞サイトを購読したことはないから知らないのだが、これお金を払って購読したら、この夥しい数や表示面積の広告がなくなるの? そんなわけないよね。だって、従来の新聞紙を購読していた頃でも、新聞紙には広告が掲載されていたわけだから。ということは、こんなクズみたいな広告で埋め尽くされた画面を見るためにお金を払わされるのかな。国内の新聞社やテレビ局とも仕事をしている会社の人間としては立場上の問題があるかもしれないが、ネット・ビジネスのプロの末席にいる一人として、これでは New York Times が購読者を増やしたようには、国内の新聞サイトは購読者を増やせないと思うんだよね。
メディアや報道機関の「客観性」と呼ばれているものは、記事を書いたり取材したり編集する人間が、日本のように東大の学卒なんていう「低学歴」でなきゃいいという問題では済まないんだよね。メディアは、一般論として言えば、四つの強力なステークホルダからの圧力にさらされる。(1) 購読者、(2) 行政機関、(3) 広告出稿者、そして (4) テロリストだ。日本の経営学者や経営コンサルは未熟で無知無教養なので、「ステークホルダ」と言えば株主か銀行くらいしか頭に思いつかないと思うが、こうした牽制関係どころか脅威にもなりえる組織や人々もステークホルダとして認識してこそ、企業のリスク・マネジメントはまともなレベルになる。自分や自社にとって都合のいい「なかよしさん」だけをステークホルダだと思い込むような幼稚園児に、企業の取締役や管理系の部門長となる資格はない。
そして、メディアの独立というのは、ただたんに「不偏不党」なんていうスローガンを連呼している精神論では実効性がないし証拠もない。ましてやジャーナリスト自身が考えるだけでも不十分なのであり、これらのステークホルダとの関わりをどうとるかという実務上のルールや方針を決めて実行し、その証拠を開示して新たに関わろうとする連中への牽制としてこそ実効性があるのだ。風呂屋に「入れ墨の方はお断り」と掲示しているなら、ヤクザだろうとファッションでタトゥーを入れているのであろうと、区別なしに叩き出すようすを他の客に見せることがパフォーマンスとなり信頼を得る方法となるのである。もちろん、その後に嫌がらせを受けたら警察に相談したり、或る種の「必殺仕事人」に何かを頼む場合だってあろう(たとえば敵対する勢力や上位の組織に相談することも、道義的な問題を別にすれば或る種の現実的な解決になる。こんなことでお上品な暴対を叫んでいても、糞の役にも立たない)。
ちなみに、スクリーンショットでは全く何の記事のページなのかわからないと思うが、上の記事はプロ野球の日本シリーズについて伝えているので、少し書いておこう。さきほど日本シリーズの中継を父親のいる実家で観ていたのだが、ベイスターズの優勝場面で久しぶりに DeNA の社長を見かけた。例の WELQ 騒動から特に注目などしていなかったのだが、なんだかんだ言っても一定の地位や資産を着々と積み上げているようだ。もう既に忘れている方も多いと思うが、たまに僕が「WELQ レベルの大学生や主婦の書くコピペ記事」などと揶揄するので、知らない人に説明しておく。WELQ というのは DeNA が運営していた医療系の自称「プラットフォーム」であり、代替医療や陰謀論や素人の意見など、ありとあらゆるデタラメな記事を素人の大学生や主婦に大量に書かせて過剰な SEO でアクセスを集めていたという事件があった。首謀者の一人である村田マリ氏はシンガポールへ逃亡し、彼女に強い信頼と評価を寄せて最高責任者に登用した、ベイスターズのオーナーである南場氏は、自身の夫が癌で闘病していた頃にネットの医療情報を全く信用できないと言っておきながら、自分の会社では大量の偽情報やインチキ情報をバラ撒いていたというわけである。また、DeNA は現在も医療情報を目的外で転用しているとの報道もあり、企業体質を変えるつもりはないらしい。ベイスターズのファンは、そういう資金で運営されているプロ野球チームなのだという知識はもっておいたほうがいいだろう。
もちろん、僕はベイスターズのファンを怒らせるために書いているわけではない。そもそもプロ・スポーツのオーナー企業なんて、多かれ少なかれ同じようなものだ。そもそも会社についての経済学や法律学の立場から言えば、企業の本義は利益を得ることにあり、得た利益の主たる用途は、法人税の納付と、企業の事業継続性を維持すること(給与の支払いや投資だけでなく内部留保なども含まれる)と、当然ながら株主への配当だ。よって、企業がプロ・スポーツ事業を子会社として担うことは投資としての意義が十分に説明されなくてはならず、単に経営者の好き勝手や虚栄心でスポーツ事業をサポートすることは、厳密に言えば株主を裏切る特別背任と言うべきである。だが、これを実際に証明するのは困難であるがゆえに、多くの企業ではプロ・スポーツの実業団を抱えているのだが、僕は法的にはともかく経済的にはどう考えても企業の活動として不必要なことをやっていると思う。ベイスターズのファンだからといって DeNA のゲームをスマホにインストールして遊ぶか? あるいは DeNA のゲームが好きだからといってベイスターズのファンになるか? どちらも関係がないであろう。ということは、それらの関連を強化することに経済的な意味などなにもないのだ。そして、僕はスポーツ用品などの企業を除けば、大半の企業はスポーツをサポートする必要も意義もないと思う。よって、企業がプロ・スポーツを事業として運営することは、その費用を本来は配当に割り当てられたのだから、株主の利益を損なうことだと言える。