Scribble at 2023-07-25 17:45:18 Last modified: 2023-07-25 17:47:11

添付画像

Wack0: "so preoccupied with whether they could, they didn't stop to think if they should"

Don't. #28

思慮の浅い、さんすう(それがフィールズ賞に値するレベルであろうと)しかできないエンジニアや学者が恐ろしいのは、こういうことなんだろうという一例だ。既に色々なメディアやソーシャル・ブックマークなどで話題になっているが、Google でブラウザ開発にかかわるエンジニアら(Ben Wiser, Borbala Benko, Philipp Pfeiffenberger, Sergey Kataev)が立案した "Web Environment Integrity" というアイデアは、効率や安全といった観念だけでものを考えてしまう(つまり、それらの implication を想像する「文系的」な力がない)人々による、端的に言ってクレイジーな発想であろう。

彼らの発想は、要するにこういうことである。現在の広告配信技術においては、広告の効果のあるなしを人がアクセスしているという前提で測ることはできず、ロボットを使ったインチキで水増しされたページ・ビューやインプレッション数に出稿主は騙される。したがって、ウェブサイトはコンテンツを、本当に人がアクセスしていて信頼できる UA に対してのみ表示するべきであるし、逆にユーザは本当に正当な配信元が提供しているサイトからのみコンテンツを表示して利用するべきである。そこで、両者のケースを安全かつ整合的に維持したり確立するためには、Google Chrome のようなユーザとウェブサイトとのインターフェイスになっているアプリケーションが適正に対応すればいいというわけである。もし、こんな DRM にも似たようなコンテンツの正当性だとかユーザの正当性だとかをブラウザでの判定に依存するようになれば、ウェブ・コンテンツの自由なアクセスは著しく阻害されることになるだろう。もちろん、Google Chrome を使わなければいいだけだと言うかもしれないが、同じ思考を色々な通信サービスに当てはめていけば、もちろんメールも、カレンダーも、スマートフォンのアクセスも、家庭でオモチャに天気予報を聞くときですら、「あんた、本当に人間ですか?」などと機械ごときに疑われかねない生活になるわけだ。

まったく、クレイジーとしかいいようがない。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook