Scribble at 2023-11-30 09:20:02 Last modified: 2023-11-30 11:59:50

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『パレスチナの民族浄化 イスラエル建国の暴力』その1

よく記事を読ませてもらっている書評ブログに、今般の紛争に関連してイスラエル建国に関わる研究書が紹介されている。何年か前に僕もイスラエルとパレスチナの紛争や対立について、サラ・ロイの『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』などに目を通した覚えがあるけれど、まとまった分量の通史というのが意外になくて、経緯の掴みどころがなかった。したがって、つまみ食いのように続々と出てくる新書を少しずつ眺めていたのだが、やはり上の記事で紹介されているような話題というか事実は、あまり詳しくは書かれていなかった。なお、このところの紛争によって、記事で取り上げられている本もアマゾンでは品切れらしい。

もちろん「ユダヤ人が仕掛ける民族浄化」という皮肉な表現をせざるを得ないテーマを、多くの社会科学者が取り上げることだろうし、それ以外にもロシアの(帝国時代からソヴィエトを通じてプーチン政権まで、実は一時期たりとも存在しなかったという意味ではイカサマの)民主主義というテーマも関心を集めている筈だ。実際、SNS では関心がありそうなパフォーマンスと思える発言だとか、バカが大好きな「言説」とやらだけは膨大な数に上っているが、あいかわらず日本の社会科学は仕事が遅いし、レベルも低い。要するに、日本の社会科学研究者というのは岩波書店やミネルヴァ書房といった有名出版社から本を出すということしか目標にしていないので、そこへ誰がたどり着くかというヘゲモニー掌握合戦が研究成果の公表よりも優先するのだろう。いまや欧米では、研究者個人が自分のブログで相当なレベルの研究成果を公表している時代にあって、いまどき「本」という目標しかないのだから、無能揃いであるばかりかセンスが古いとしか言いようがない。

ということなので、せいぜい上記のような本の翻訳くらいしか僕らは期待すべきことがないわけである。そういや、東北大の黒木氏の掲示板にたむろしていた、何を専攻していたのか知らんけど自分では「理系」を標榜していて宇宙法とかの本を出した人物にしても、結局は社会科学としてインパクトがある著作なんて一つもないんだよな。ああした人々が、せいぜい日本では社会科学で有名な人物なのだから、それ以外で知られている日本の社会科学者といえば、岸くんのような(或る意味では古臭いタイプの)左翼文学青年くらいではあるまいか。

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