Scribble at 2023-06-03 09:02:39 Last modified: unmodified
MOOC のレクチャー動画も好評らしいし、今年になって第6版となった線形代数の教科書はよく売れているらしく日本でも翻訳されているギルバート・ストラング氏についての記事だ。彼は今年で88歳だが、いまでも熱心に数学の講義を続けている。奇妙なことだが、日本にはこういう教科書がないし、こういう教科書を書く研究者もいない。数学の教科書で、6どころか3版を数えるような著作があろうか。もちろん、アメリカでも線形代数の教科書なんて山のように出てくるわけだが、それでも長らく多くの大学で採用されたり多くの学生に読まれているからこそ、こうして版を重ねられるのだろう。確かに、日本語の著作物とは違って市場の規模が違うと言えばそれまでだが、それが分かっているなら、どうして日本の理工系の出版社は新しい教科書を一から作り直するというリスキーなことを続けるのか。要するに、書いた本人が所属する大学の学生が買うだけで「ペイする」という発想でしか教科書を作っていない証拠だろう。