Scribble at 2024-10-29 09:16:01 Last modified: unmodified

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新卒で入った会社をすぐに辞める人が理解しておくべきこと

最近の無料ブログ・ホスティング・サービス(二つ以上の中黒を使って外来語を表記するのは、あまり好ましくないとされているから「無料ブログホスティング・サービス」などと書く方がよいのだろう。ただ、そうすると「の」を連続して使うという日本語表記としての醜悪さに陥るので、こう表記している。もちろん、後からこうやって細かく注釈しているが、たいていは無意識にやっているからこそ「文体」と呼ばれるものは単なるテクニックとは異なるのだろう)は、まず最初に表示した画面でほとんど記事のタイトルくらいしか読めないほどヘッダーや固定フッター(CSS の "fixed" で表示ペインの底部に固定されたバナーなど)が面積を占めていて、それから暫く経過すると全画面の広告が出てくる。これほどまでに広告収益に依存しなくてはいけない「無料」サービスとは、いったい何なんだろうと思う。僕は、金持ちでもなんでもないが、当サイトをレンタル・サーバで運営して四半世紀近くになるわけだが、別にそんなことが無料のブログ・サービスを使う人とくらべて「偉い」とか「善良」だと思っているわけではないし、そう思う人もいないだろう。でも、こういう「無料」サービスが事業継続できるとは思えないし、こんな体裁になってまでブロクを無料で運営したい人々の自意識というものにも、さほど継続した強い意欲とか動機が感じられないので、僕はこういう人々の運営するブログの RSS を購読しなくなったわけである。

ただ、たまにこうして巡回すると気に留めるような話題を見つけることはあるから、個人のブログを黙殺していいと思えないのだが、もちろん哲学的には些事としか言いようがない。こういう記事で書かれていることを弁えたり知っているかどうかだけで人の価値が決まるものでもないし、人生の主観的な有意義さすら決まるわけではないからだ。

さて、この記事では冒頭から「3割が3年以内でずっと辞めているという統計は、若者の我慢強さも変われなければ、いつの世も長く勤めるに値しない会社が沢山あるという現実を表している」などと書いているけれど、もちろんこれらに加えてマッチングのよい仕組みが不足しているという事実も表していると言ってよいはずだ。それは、なにもリクルートのような情報ブローカーや竹中パソナのような人足業者ども・・・ああ、最近は「人材派遣会社」なんて気取ったネーミングらいしね・・・が世の中に必要だと言いたいわけではなく、就労希望者と採用希望組織との組み合わせがうまくいかないという話にすぎない。

次に「片道切符」かどうかという話題について、(記事の筆者は日本オラクルの技術者のようだが、役職者なのかどうかは知らない)企業の役職者として意見を述べさせてもらうと、転職希望者がどこへ転職するつもりなのかは、いまや日本でも上司が聞いて良い話とは限らないプライバシーだから、もちろん彼と同じく一般論しか言えないのは確かだ。そういう前提のうえで一般論を言うと、まず転職先が大企業で潰しが効くかどうかという観点は、はっきり言えば大きなお世話だと思う。確かに一般論として言えば、その転職が失敗した際のリカバリーについて言えることはあろうが、日本オラクルでもない業容の、たとえば弊社のような50人にも満たない零細ネット・ベンチャーだと、僕が Oracle 使いとしてどのていどの技術力があっても日本オラクルに再就職するのはほぼ不可能であろうとは思う。日本 IBM も無理だろうし、日本マイクロソフトも無理だ。でも、それがいったいどうしたのかという気もする。そういう「良い会社」に勤めて生涯年収で数億円の差がついたり、退職金や年金も潤沢で、闇バイトのキチガイどもに襲われない限りは三浦半島あたりに小さな別荘を買って余生を過ごせるとしても、下請けをさんざんこき使いながら「ワーク・ライフ・バランス」だ「ダイバーシティ」だなどというセリフを平然と言ってのけるような会社の人間になるつもりはないし、部下にもそういう人生が「クールで、結局は得だ」と勧める気にもなれない。それに、そんな選択肢はたいていの中小企業のサラリーマンにはないのである。つまり、彼らにはそういう選択肢があるという事実において 99% のサラリーマンとは関係のない話をしているのだという事実に気づく必要がある

次に、「新卒の面接は『何ができるか』は殆ど求められず、将来性という高い下駄を履いて勝負をしているのだ。その将来性プレミアムを最大限活用して到達できたのが今のあなたの勤め先であることは理解しておいてほしい」というあたりも、実際には人材派遣会社だろうと大企業だろうと人事にかかわる人間なんて心理学や社会学の博士号ももっていない素人集団であることを僕は知っているので、こんな基準で採用を決めているからこそ、いつまでだっても「歩留まり」は上がらないのだというポイントを、いくら人事にかかわる人々が経験と勘しか取り柄のない素人集団でもそろそろ気づく必要があるだろうと思うんだよね。もちろん企業の採用においては capability も重要な基準であるから、採用面接にやってくる人々が job interview で受け答えする際の教養なり知識なり経験談から、彼らにどのていどを期待できるかを推し量るしかない。それが「下駄」であることは確かだが、たとえば転職の際に提出する職務経歴書だって「下駄」であることに変わりはない。新卒には職務経歴書がないから経験や研究内容を説明するだけのことである。したがって、相手が新卒だろうと中途採用の希望者だろうと、自社に入って業務を滞りなく習得でき、誠実かつ予測可能な範囲でこなせるかどうかという採用基準において区別はないのであり、こういう基準を軽視して capability や職務経歴の議論、つまりは「下駄」がどのていど役立つとか役立たないなどと議論するのは、かなりレベルの低い人事の話だとしか言いようがない。そもそも、われわれのような中小零細企業での採用活動というものは、新卒だろうと中途採用だろうと自社の業務や商材を短期間で的確に理解して対応できなければ、東大を出ていようと日本オラクルからの転職者だろうと無意味である。そして、そういう採用基準においては「下駄」なんてものを人事として議論する価値は最初からないのだ。

・・・といった苦言はあるが、ここから以降の各事項については、僕も同感だ。

転職を繰り返すと、まず人材紹介会社の「アドバイザー」と称する人の対応が明らかに悪くなる。彼らにとってジョブ・ホッパーは「売れない商材」と即断されるからだ。そして、人材紹介会社の人間なんて企業の人事担当と比較してもスキルがないどころか、社会人としても洟垂れ小僧と言ってよい若造であることが多く、要するにプロファイリングの判定データだけで仕事をしている低品質のロボットにすぎない。僕も現職へ就く前に人材紹介会社に登録したことが一度だけあって、人材紹介会社での面談に現れたのは「後輩です」と名乗る神戸大学を出たばかりの、なんと新卒だった。で、新卒が博士課程を出ている先輩に向かって、何かの分析書類を眺めながら3分診療の医者みたいに、こちらの顔を一度も見ることなく「転職が何回かあって不利ですね」みたいなセリフを言うわけである。もう面接が始まってから数分で「これはダメだな」と思って人材紹介会社は見限り、いまはなき「Find Job!」で19年ほど前に見つけたのが現在の所属企業だ。僕自身は日本オラクルの Chief Privacy Officer を拝命してもいいていどの学識や経験や技術力があるという自負はあるが、そんなことはどうでもいい。

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