Scribble at 2020-12-13 00:45:46 Last modified: 2020-12-15 14:19:31

後から英語の勉強方法について論じたページへ追記するかもしれないのだが、とりあえず先に書いておきたいことがある。

よく英会話のフレーズ集みたいなものを買い込んでは、一つずつ覚えていく人がいる。僕もそういうフレーズ集を持っているが、こういうものを暗記するつもりはない。そんなものをどれだけ闇雲に覚えていっても、あまり効果はないと思うからだ。

これは真面目に考えてみてほしいのだが、みなさんは普段の生活で、起床したり出社したときに、家族や同僚に向かって「調子はどう?」なんて言うか? 言わないだろう。だったら、英語を使って生活するときでも、"How are you today?" なんて言わないに決まっているのだ。英語を話すだけでなく、英語で生きることを決断したわけでもない人間が、アメリカ人のように振る舞えるわけがない。そういう覚悟なり諦めなりで或る土地に住んでいるわけでもないのに、そこで必要とされる振る舞いをしない人間が "How are you today?" などという表現を丸暗記したところで、そんなこと言うわけがないし、使う気もなければ使う必要にも迫られていないのだから、覚えても使わないし使えないのである。だから、そんなフレーズを何千と暗記しても無駄なのである。

したがって、こういうフレーズ集を買って使うときのポイントは、まず何よりも自分が言うようなフレーズかどうか(普段から自分が同じようなことを日本語として言うかどうか)という基準で、それを英語でどう言っているのかを調べてから、そのようなフレーズだけを抜き出して新しいフレーズ集のノートを作ることだ(たぶん人によっては罵詈雑言を集めたノートができあがるのだろう)。そして、それらを覚えて自分が言いそうなことを英語でどう言うかを習得した後に、どういう表現を使えば現地で、あるいはネイティブに対して特定の態度や感情や意見を表すことになるのかを学べばよいのである。もちろん、言葉とは相手とのやりとりに使うのだから、自分の都合だけで言葉を覚えたらいいというものではない。しかし、だからといって自分が言わないことを最初に乱雑に覚えても、そんなものは身につかないのである。

これは、何も日本語として言葉を扱えるようになった大人が英会話を学ぶときだけに当てはまることなのではない。仮に子供だとしても、原則は同じだ。子供は「おなかがすいた」と言う必要があるからこそ、"I'm hungry, ma." という表現を使えるようになるのであって、必要もないのに "quantum computing" だの "big data" だのという単語を覚えたりはしないし、覚えたとしても "What is big data?" と質問する用途くらいにしか使えない。

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