Scribble at 2025-02-05 20:06:51 Last modified: 2025-02-05 23:41:07
大阪万博のサイトでは、「万博ID」なるものを登録してからチケットをオンラインで購入するらしい。なんでチケットが売れていないのか、まずここで一つ分かる。つまり、オンラインでユーザ登録しないとチケットが買えないのである。こんなもん、インターネットの接続機器を持っていないかうまく使えない人、たとえば高齢者などの多くは購入できないだろう。スマートフォンを使っていようと、メールを使っているとは限らないからだ(キャリアなどからのお知らせは SMS で通知されるから、メールを受信していようがいまいが読む必要はない)。
で、次に ID の登録について Chief Privacy Officer という職務上の観点から簡単にレビューしてみると、まず、サイトで掲載している「個人情報保護方針」を、登録時のフォームでも掲載している。だが、本来は個人情報の取得・運用主体が掲げる方針という文書と、個別のフォームで情報を取得する場面で掲載する、法令に基づく公表事項を本人に通知するための文書とは、中身が違うのだから、ここでは法令に基づく公表事項を掲示して同意を得なくてはならない。個別に情報を取得する場面では、個人情報保護方針に同意してもらうわけではないのである。これは、なにもプライバシーマークのような任意の認証を取得するためだけに必要な条件ではなく、個人情報保護法においても求められることだ。たとえば第三十ニ条(保有個人データに関する事項の公表等)である。個人情報保護法第三十二条で求められている公表事項でありながら、万博のサイトでは公表されていない事項は、たとえば「当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名」だ。
そういうわけで、このサイトの制作にあたっては、おそらく個人情報保護法についてリーガル・チェックを受けていないと思われる。個人情報保護方針と、法令に基づく公表事項とが異なる文書であって運用方法も異なるなんてことは、僕らのような専任の実務家でなくとも弁護士や司法修習生ですら知っている常識だからだ。とはいえ、地方公共団体だろうと法令を遵守しているとは限らないし、遵守する必要があるとすら思っていない場合もあるわけで、僕らのように大手広告代理店案件に20年近くも携わっていると分かることだが、こちらがプライバシーマークの認定事業者としてコメントしても、たいてい官僚や役人というのは人の話を聞こうとしない。たぶん、何かアドバイスすると余計なコンサルティング料を後から請求されると思っているのだろう。でも、だからといって法令を厳正に守っていない状況を放置してよいとは思えないが、しょせん維新行政なんてものは一部の人々に喜ばれてナンボの商売である。