Scribble at 2024-07-01 12:55:58 Last modified: unmodified

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新聞を印刷する輪転機の国内シェア約5割を握る三菱重工業が、輪転機事業から撤退する方向で検討に入ったことが27日分かった。重点領域に経営資源を集中するための事業見直しの一環で、輪転機の使用期間が一般的に30年程度と長く、更新需要を多く期待しづらいことを踏まえた。新聞発行の現状も考慮した。

三菱重工業が新聞輪転機事業から撤退へ シェア5割、重点領域に経営資源を集中

書籍、新聞、雑誌というマス・メディアの衰退が叫ばれてずいぶんと経過しているのだが、これまでは表から見える紙面なり文章なり番組についての批評を理由としていた。裏というかメディア運営からの理由としても、メディア企業の古いセンスや経営体質や財務状況といった話が多く、上記のような話題から考える事例は少なかったので、興味深く読んでいたところだ。

同じようなことは、たとえば音楽業界にも言える。いまやカセット・テープやレコード針やレコード盤を作っているのは、日本どころか世界というスケールで言っても僅かだという。そういう産業としての基礎を担っている事業が衰退することは、そういう産業全体の動向を推し量るに足りる、切実で正確な指標となるだろう。

もちろん、輪転機がなくなっても新聞の紙面は編集できるし、複合機でも印刷はできる。しかし、輪転機と同じだけのパフォーマンスで短時間に大量の印刷物を作るというのは、やはり専用機に比べてコストが掛かりすぎる。輪転機1台ぶんのパフォーマンスを複合機で出そうとすると、その印刷のスピードや品質から言って、たぶん複合機が数百台は必要になるだろう。そして、新聞紙という特殊な用紙に安定して印刷するという歩留まりを考慮するなら、バック・オフィスの人材なら知ってると思うが、複合機での印刷は紙詰まりなどが発生しやすいため、単純に1分間の印刷枚数だけで計算するべきではなく、おおよそ2割ていどの台数を余計に確保しなくてはいけない。ということなので、いずれにしても複合機なんかで新聞を印刷しても全くコストに見合わないのだ。

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