Scribble at 2024-07-01 12:43:07 Last modified: 2024-07-01 16:23:01
Google あるいは Google Maps に限った話ではなく、おおよそ CGM のサービスならジャンルを問わずに言える課題だと思うんだよね。この「場を提供してるだけ」と称して、良い結果は「ソーシャルなんとか」と喚き、悪い結果は黙殺という運営方針については。いま進行している Meta のインチキ広告に関する裁判でも、広告のプラットフォームを提供しているだけであって、広告の内容については関知しないなんていう口答えが通用してしまっている現状がある。
もちろん、ここで disclosure しておくが、僕が在籍している企業では新聞社やテレビ局などのマス・メディアのブランドを利用して、情報を掲載する場所が「権威と信用ある場所である」と宣伝してサービスを展開しているため、僕の職責や会社の利害関係から推し量ると、僕には Meta や Google Maps や Wantedly(実質的に求職者と求人企業のマッチングになっているが、「ビジネスSNS」だと言い張っているので、Wantedly は労働基準監督署に有料職業紹介事業者として届け出ていない)のようなサービスを「インチキ」だと差別化する動機がどこかにあるのかもしれない(哲学者だからといって、そういう動機や事情から自由になれるとは限らない。もちろん、あからさまに自社サービスを良く見せるためにこんなことを書いているわけではないが)。そのうえで、この落書きを読んでもらいたい。
そういう背景の事情はあるわけだが、しかしそれだけでなく、やはり僕は昔から「場所を提供しているだけ」という事業者の言い訳に、どうも胡散臭いものを感じていたことは確かだ。なぜなら、そういう「場所」はどこでもいいわけじゃないし、どこにでもあるわけじゃない。そして、Google や Meta は自社のサービスを広告や CGM としてコメントを投稿してもらう場所として選んでもらうように、そのサービスそのものを宣伝しているわけだし、広告を展開したりコメントを投稿しやすいようにサービスの仕様なり契約内容を整備しているわけだから、その整備の仕方やサービスの運用があったうえで、そうした詐欺広告や出鱈目なコメントが公になっていると言える。逆に、出稿したりコメントを投稿する人々は、どこでもいいわけではなく、一定の条件を満たしているからこそ Meta や Google Maps を選んでいるわけであって、その目論見とサービス内容や契約内容が一致しているからには、そこでの広告配信やコメントの公表には、一定の「共同作業」だと解釈できる余地があろう。したがって、「関係ない」と言わせるような法令の抜け穴があるとすれば、それは不正義という欠陥であると言ってもいいように思う。法令は、もちろん民事であれば特定の当事者だけを一方的に保護してはいけないわけだが、それゆえに一方の当事者が何らかの欠陥ゆえに保護されていない不正義と言いうる状況があれば、それは是正しなくてはいけない。