Scribble at 2023-03-23 08:55:39 Last modified: 2023-03-26 09:55:17
これは、イタリアの理容室では定番と言われている PRORASO というメーカーのシェービング・クリームだ。僕も1本だけ手元に置いて髭剃りに使っている。ここのアイテムはプレ・シェーブでもアフター・シェーブでも、肌につけるものは三つのタイプを揃えていて、敏感肌用(sensitive skin、白)、標準(refreshing、緑)、そして粗い髭用(coarse beards、槐色だがいちおう「赤」と言っておく)があり、僕は赤のクリームだ。以前は「乾燥肌用」と紹介したけれど、それは上記のとおり、サイトで "soften the hair and nourish and regenerate dry skin" と書かれているからだ。もともとは coarse beards の方が強調されているけれど、僕の髭が粗くて太いわけではない。
さて、上記は販売代理店サイトのページである。そして、注目したいのがシェービング・クリームの値段である。$10(公式サイトである proraso.it = proraso.com に価格表示はない。なお、proraso.it は SSL サーバ証明書がないので、転送時にエラーが出る)。理容師の GORO さんが動画で説明しているように、アメリカの販売代理店では1,500円くらいで売っている髭剃り用品だ(この手のサイトを見たときは、フッタの privacy policy や terms などを確認すれば、PRORASO の支社なのかどうか分かる。このサイトの本当の名義は Bigelow Trading である。日本で言えば、Upper House という会社が「PRORASO Japan」を名乗っている)。でも、たとえば日本のアマゾンでは2,150円だし、国内の販売代理店だと『ITALIANITY』では3,080円、"PRORASO Japn" を名乗っている Upper House でも3,080円で販売されている。販売代理店を名乗るくらいなので、wholesale(卸売り)で輸入しているであろうから、仕入れ値は安い筈だ。しかし、関税だとか輸送料がかかると、こういう国内価格になってしまう。もちろん、事業者として利益も載せてある。こんなことに文句を言う消費者はゴロツキでしかない。とはいうものの、正味の価格として数字が大きいのは事実であるから、なんとなく落ち着かない気分がするのも、消費者心理として否定できない。個人輸入の特徴としてあきらめなくてはいけないところだ。
こう考えてくると、逆に国内でも商品の「定価」が設定されている方が奇妙だとも言いうる。全国各地に商品の倉庫があるならともかく、大阪の会社で大阪にしか倉庫がない場合、大阪市内へ配送するのと北海道へ配送するのとでは、コストが違うのは当然だからだ。もちろん、定価の価格設定では、単純に最も遠い場所まで運ぶ料金を基準に設定しているわけでもなく、輸送する個数の比率に応じて細かく調整していたりするのだが、いずれにしても大きなリスクを抱え込まないような設定にはなろう。そのため、近場で買っている消費者は常に余剰の輸送費を払っているに等しいわけだが、それを言っても仕方がない。自分が欲しい商品を作っている会社が近くにあるからといって、受付を訪ねて「輸送費なしで売ってくれ」とか「卸値で買いたい」などと言っても通用しない。