Scribble at 2025-11-16 10:37:29 Last modified: unmodified

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One-Handed Keyboard

片手用のキーボードには興味があって、自分でも幾つかのプログラマブル・キーボードを持っているのだが、それらはテンキーや9つていどのキーにマッピングできるだけであって、片手だけでフル・キーボードの代わりになるわけではない。また、市販されている「片手用」と称するキーボードの大半はゲーム用であり、つまりはキャラを動かす A, D, W, S などを独立させただけだ(それらのキーは多用するから、独立させておけば、劣化しても独立したキーボードを取り替えるだけで済む)。それに対して、上記で紹介しているのは片手でフル・キーボードとなるものだ。

「右手を失った娘のために。『片手用キーボード』が父の願いをかなえた」(https://getnavi.jp/entertainment/1045841/)

片手用のキーボードについて探していたら、同じキーボードを紹介している記事があった。3D プリンタで製作したとのことで、工程や仕様が上の GitHub リポジトリで公開されている。

ただ、僕はこれはキーボードとしてはあまりにも設計がイージーであり、既存のキーボードを片手のサイズに縮めただけにすぎないと思う。練習すれば左手でタイプできるとは思うが、倍のキーを叩いているにすぎない。いま僕らの手元にあるキーボードを片手で叩いてみろと言われて、腕を動かすのが面倒でも叩けるという状況が軽減されるだけのことだ。

僕が使ってみたいのは、そういうものではない。

現在のキーボードは、明らかに欧米のアルファベットの数を基準に設計されており、それゆえ僕ら CJKV 言語圏の人々はローマ字入力というきわめて非効率で(僕が思うには)侮辱的な慣習に従わないといけない。ここでその是非や良し悪しは論じないが、ともかく一定の文字を入力するには、確かに一つの言語で扱う文字の数が少ないのは設計の点から言って簡単であることは確かなので、26文字のアルファベットを配置するだけで済む現行のキーボードは効率的だ(2年前から朝にはよくあることだが、ドライアイで眩しいから殆ど数秒も目が開けられないままタイプしているので、つまり別の意味で「ブラインド」タッチになっているので、この落書きには誤字があるかもしれない。後から推敲しなおすが、まだ残っているかもしれない)。しかし、必要な文字だけキー・トップを配置するというのは、敢えて言えばタイプライターの設計思想であって、一つのキーに幾つもの機能を割り当てられる電子的なキーボードの設計思想ではない。HCI の観点から言えば、もっと効率的な組み合わせがあってしかるべきであり、それゆえ Shift キーや Function, Ctrl, Alt キーなどが考案されてきたという経緯がある。日本語の入力でも、JIS 配列だけでなく NICOLA 配列では左右の「親指シフト」というキーが考案されて、格段に入力の効率が上がった。僕はいまでも、たまに OASYS のオペレータとして仕事をしていた頃の入力方式をイメージ・トレーニングでタイプする想像をすることがあって、死ぬまでに二度と親指シフトのキーボードを使う機会がないとしても、おそらくは死ぬまで覚えていると思う。こういうキーボードを日本のユーザに普及できなかった、日本のコンピュータ・メーカーの文化的な責任は大きいと思う。ローマ字入力なんて、僕はそれで技術者としていまの社会的な身分を得ているわけだが、文化的な奴隷のやることだ。

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