Scribble at 2020-09-05 00:36:58 Last modified: 2020-09-05 00:46:14

当サイトのページとして取り上げたい話題が一つ加わった。よく考えてみると、もう何年も前から「メールは死んだ」とか「メールに代わるテクノロジー」とかいう触れ込みで多くのベンチャーが出てきては消えてゆく。中には、メッセンジャーとして成長した分野があるではないかと反論したくなる人もいるとは思うが、あれはメールとは直に関係がなかったサービスをマーケティングとして関連付けているだけである。

本来、LINE や Slack や ChatWork は IRC や ICQ などの、もとからあったメッセージングのアーキテクチャやインスタント・メッセンジャーとの対比で語るのが正当な議論というものだろう。もともとメールは即時的な応答のために考案され開発されてきたものではなく、RFC を始めとする全ての文書において、プロトコルやソフトウェア・アーキテクチャの考案者も実装者も、誰一人としてメールの理想的な運用がリアルタイムの応答であるなどと言ってはいないはずである。

要するに、リアルタイムの応答など目指してもいない規格や実装を持ち出して、やれ我が社のサービルはメールを超える次世代のメッセージ・サービスであるなどと不当な比較をしているのが、些末なベンチャーの宣伝文句である。メールはメールとして役割もあれば十分に有用だ。もちろん、幾つかの点で課題はあったのは事実である。その一つが、POP3 / SMTP の脆弱性というか暗号化していないのだからセキュリティもへったくれもないという点であり、これは PGP のように結局は殆ど普及していない規格や実装をカバーするサービスが出ている。ただし、エンド・ユーザが何の苦も無くメールを暗号化して利用できるとは言っても、その代償として特定のアプリケーションや特定のサービスに依存せざるをえないという事実がある。そういう課題はまだまだあるものの、メールはメールとして独立の意義があるという主旨で記事を追加したい。

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