Scribble at 2022-12-21 11:11:48 Last modified: unmodified

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最近では "van Fraassen" と検索しても、出てくるページの大半はオランダにある観光会社のサイトばかりになってしまったのだが(van Fraassen Travelling という会社がある)、ヴァン・フラッセンが1980年代の科学哲学で動向の中心にいた一人であることは確かだろう。ただ、彼の議論は竹尾先生が言う「ハードな科学哲学」に属しているため、日本のように「科学論」などと雑な言い方で科学にまつわる雑談みたいな読み物しか出版されたり読まれない文化的辺境地帯では、なかなか哲学科の学生にすら著作も成果も知られていない。彼の著作で唯一の翻訳は、もちろん丹治信春氏が訳された『科学的世界像』(紀伊國屋書店, 1986)だが、アマゾンのレビューを見るとヴァン・フラッセンの業績(特に量子力学の解釈)をオンラインで公開されていた舟橋氏と思われる人物のレビューもあるようだが、やはりこのていどのコメントでは(特に科学哲学を志望する学生でもない限り)不十分であろう。

ベストなんとかの暇人が書いているレビューなんて、冒頭から「本書でフラーセンは、論理実証主義をも科学的実在論をも否定する。」などと書くが、論理実証主義も科学的実在論も知らない人にとっては、たとえ哲学科の学生であろうと他人の話にすぎない。こういう、科学哲学の訓練も受けていないであろう人々がプロパーぶって学界の動向を伝えるような文章を書いたところで人に訴えるものはない。しょせん、他人のお喋りについて論評しているにすぎないからだ。この本を読もうと読むまいと、この人物の人生や生活には何の関係もあるまい。

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