Scribble at 2026-06-01 20:29:01 Last modified: 2026-06-02 07:56:46

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This paper sets out to extend the epistemic semantics presented in Dahl (2023) to modal and conditional logics. To do so, I extend the notion of belief expansion systems, inspired by the AGM-model of belief change, to include belief revision, and use the resulting structures as models for both conditional and modal logic. In the first case, this applies the well-known approach to conditionals initiated by Gärdenfors (1978), but in a weaker setting which doesn’t assume an underlying logic.

From belief change to modality: Epistemic semantics for modal and conditional logic

分析哲学に "formal epistemology" という分野があり、これ自体が informal logics を利用するという妙な事情があるからか、日本でも殆ど携わっている研究者がいなかったりする。したがって、たとえば古典的なギルバート・ハーマンの Change in View といった薄い本で展開された議論なんかも、僕が京都の至成堂書店さんで手に入れて眺めてから四半世紀以上が経過したというのに、このレベルの議論を展開する論文なんて日本には一つもない。せいぜい、Twitter がどうしたとかセンチメンタルな文明論の雑文を書くプロパーがいるていどのことだ。嘆かわしいにもほどがある。もちろん、IBE や倫理学で知られているハーマンが belief revision の第一線の研究者でもあったということを知っているくらいは、自慢でも何でもない。それなりの実務能力があれば知りえた話だ。ちなみに、学術研究論文のサーベイに関する僕の実務能力は、学部時代から殆ど向上していない。つまり学部時代からドクター並みの研究実務能力があったわけで、有能な人間にとっては当たり前のことなのである。これは自慢だ。そうでもなけりゃ、いくら指導教官の後ろ盾があろうと、凡人どころか無能が神戸大の博士課程になんて入れるわけないだろう。

さて、そんなわけで belief revision は非常に面白いテーマなのだが、日本語で読めるテキストが皆無であるばかりか学術論文すら殆どないという状況なので、海外の動向から離れてしまうと『スタートレック:ヴォイジャー』でデルタ宇宙域まで飛ばされた人々のようになってしまう。そこで、この論文の概略をご紹介しながら、僕もそろそろ少しずつ手を付けていきたいと思っている。『ビッグバン★セオリー』のシェルドンみたいだが、地球圏まで戻らなくてはいけない。

この論文は、著者が過去の論文で自ら提示していた、直観主義論理や古典論理向けの認識論的意味論(epistemic semantics)様相論理と条件法論理へ拡張することを目的としている。彼は AGM モデルとして知られる信念変更の理論に触発されたらしく、従来の信念拡張の概念に belief revision の操作を加えた「信念修正システム」という構造を構築し、これを両論理のモデルとして利用する。条件法論理においては、特定の命題を受け入れたときに別の命題が導かれるかどうかを判定する「ラムゼイ・テスト」(Ramsey test)の変種を使って、基底となる論理をあらかじめ仮定しない弱い設定で適用することにより、古典的な条件法論理だけでなく直観主義的な条件法論理のセマンティクスも導き出せるという。

そうして、この論文の主な成果は大きく3点に集約できる。第一に、belief revision という単一のダイナミクスを基礎とする構造によって、命題論理、条件法論理、そして様相論理を統一的に扱う共通のフレームワークが提供される。これにより、古典的および非古典的な双方の論理システムに対して、健全性と完全性が証明できるという。第二に、様相論理や条件法論理の公理を belief revision に関する具体的な制約条件へと翻訳できるようになるといい、抽象的な論理式を日常的な信念の更新という文脈で評価することが可能になる。それから第三に、可能世界という形而上学的な仮定に依存することなく、信念の動的な変化のみに基づいて、K、T、S4 といった主要な古典様相論理のシステムを回復できることが強調される。そうして最後に著者は、この belief revision に基づくモデルが、客観的な様相の主張を説明する規範としてどのように解釈され得るかについて、indicative な想定と subjunctive な想定の区別だとか、logical expressivism の観点を交えて考察している。かなり野心的な議論だと言える。

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