Scribble at 2021-11-28 17:49:28 Last modified: 2021-11-28 17:52:13

添付画像

いま Windows 11 はタブレットとしてキーボードやマウスを接続せずに使っている Surface Pro 6 にインストールして使っているだけだ。したがって、画面のキャプチャーはスクリーン全体を Snipping Tool で取得するしかできず、上記のようなコンテクスト・メニューを表示した状態でキャプチャーする方法がない。したがって、上記の画像は別のサイトからもらっている。

ということで Windows 11 を使い始めてから、色々と気になる点が出てきている。UI が全体として簡素になっていて、項目どうしの間隔も、タブレットで使うことを意識しているのか、やや空いている印象がある。だが、実際には指で押せる間隔が空いているだけのことであり、大半のアイテムはサイズがそもそも小さかったり細かったりするため、画面をタップしていて軽快に使えるという印象はない。そもそも、スマートフォンですら親指をバカみたいに動かさないとテキストを入力できないことに苛立つというのに、タブレットのソフトウェア・キーボードの巨大さは常に閉口させられる。できるだけテキストを入力しないで使ってゆきたいので、もう PDF を開くといった用途の他にはあまり使わないような気がする。

さて、このコンテクスト・メニューについては、既に Windows 11 を使っていれば気づくように、右クリック(タブレットは項目を長押しして指を離すと出てくる)すると最初に上記のような画面が出てくる。早い話が、Microsoft お得意のお節介で、ユーザがよく使うであろう項目を勝手に選んで並べているわけだ。したがって、項目のリネームはなかったりする。それどころか、僕らがコンテクスト・メニューの項目として頻繁に使うであろう、ファイルのコピーとかペーストが全てアイコンだけとなってしまっている。しかもコンテクスト・メニューの最上位に並べられていて、どれが何の機能なのかアイコンでは殆ど直感的に理解できない。

これは、Windows の UI に限らず、東京オリンピックでも少し話題になったピクトグラムにも言えることだが、物事を図案化することは幾らでもできるわけだが、それらは単に〈図像にした〉とか〈他とは違う図像にした〉というだけでは役に立たない。何を意味しているかが(その国の文化的な脈絡という背景知識が必要な場合もあろうとは思うが)直感的に単独の図像としても理解できなくてはいけないのである。そして、複数の図像を作成して使う場合は、それらの図像が示す対象に概念としての明確な区別があって、それを図像としても明確に区別できるようになっていなくてはいけない。この二つの条件を満たさない図案化は、ただのデザイナーの自己満足にすぎず、プロダクト・デザインとしては役に立たず利用者に困惑や混乱を引き起こし、それなりの学習コストを要求してしまう。そして、この Microsoft という会社はたびたびこのような look and feel の変更を MS Office Suite といったアプリケーションのレベルではなく、OS レベルの UI について加えており、今回も「新しい」と称してコンテクスト・メニューだけにとどまらず色々な変更を加えている。そして僕に言わせれば、その変更の大半は、単純に〈変える〉ことだけを目的としているクズみたいなデザインである。

何をしたいか選ぶときに、アイコンだけが並んでいれば簡単かつ即座に選べるだろうと思っているのであれば、それは Microsoft の UI デザイナーやユーザビリティのテストを評価した人々が、あまりにも Windows 11 のテスト版という環境での操作に慣れすぎてしまっているせいだ。僕は、PC-98 シリーズで動く Windows 3.1 に載せた『一太郎』(当時は「三太郎」などと呼ばれた)を使ってから30年以上は Windows を使っているが、Microsoft は UI デザインに関する色々な基準とかウィンドウ設計の指針を SDK で公開し続けているものの、そこで語られているユーザビリティやデザイン上の着眼点を、OS レベルの UI で厳格かつ愚直に守ってきた試しがないという印象が強い。そして、知らない間に自分たち自身で SDK の基準やルールを変えてしまっていたりする。どういう社内政治や力関係の結果として、こんな碌でも無い設計を繰り返すのか知らないが、デザインや製品設計や心理学の素人が横から勝手に口を出す社風であれば、Apple 製品の UI を猿真似する前に彼らのポリシーを真似たらどうなのか。僕は Apple 製品の UI もデザイナーとして馬鹿げているところが数多くあると思っているが、Microsoft のようにマーケティング的に派手な話題づくりになるというだけの子供じみた動機で UI の設計方針を変えるような愚行をしないだけマシだと思う。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook