Scribble at 2025-04-08 11:31:07 Last modified: 2025-04-08 15:50:10
口語の本は殆ど持っていなかったのだが、何か手元に置こうと思って、この本を選んだ。古本で800円ほどだが、1,000ページを超える分量で十分だと思ったからだ。もちろん、安いということは古い可能性があり、こと口語は古いと感覚がズレてしまうことが多々あるので、発行年には注意する必要がある。本書は2007年の発行であるから、著しく古い表現というわけではない。
著者である市橋敬三氏は、2023年の12月に亡くなったとのことだが、長らく英語教育に携わってきた人物とのことで、会話にこそ文法の勉強が必須であると説く人物だったという。僕も同感だし、実際に文法の勉強を丁寧にやりだすと、とにかく英語は例外的な規則が多くて難しい。また、影響関係にあった他のヨーロッパ言語から色々な経路で語彙が入ってきているため、系統によってニュアンスや使い分けが微妙に異なるし、更にアメリカだと各言語の系統を生活に使っていた出自の人々にとってはニュアンスが更に違っていたり細かく分類できたりするような特性もある。そして、そういう細かいニュアンスの違いを知るには、単語のスペルは同じなのだから、それらをアンサンブルとして組み合わせるための文法が鍵になるのは明白だと思う。
そして、それぞれの単語にも色々な事情や経緯で色々な意味合いがあるから、中学で習うような単語であっても精密に理解しなくてはいけない場合もある。たとえば、Jane が同僚の Harris と会社で一段落しているシーンを想像してもらいたい。
Jane: I'm hungry. How about a launch at Morgan's Pizza?
Harris: No way. It's just 10 o'clock.
出来が悪い辞書や参考書、あるいは教師だと、"It's just 10 o'clock." を「いまちょうど10時だよ」などと訳してしまう恐れがある。とにもかくにも "just" は「ちょうど」という意味でしか覚えていないからだ。しかし、この脈絡で「いまちょうど10時だよ」と Jane に言って何になるのか。この場合の "just" は、「まだ~にすぎない」という意味にとらなくてはいけないので、ここでは「えーまだ10時じゃん(お昼ごはんの話なんて早いよ)」というニュアンスになるのだ。他にも、「真面目に話を聞け!」は "Listen seriously!" でいいが、「彼は真面目な男だ」を "He's a serious guy." などと述べている辞書があるらしいので、英和だろうと和英だろうと辞書を過信してはいけない。こんなわけで、日本では外来語も多くて誰でも「知ってる」からといって使えるとは限らない英単語がたくさんあるせいで、知ってるのに使えないという妙な状況になっているわけである。