Scribble at 2026-07-03 09:58:41 Last modified: 2026-07-03 10:15:18

添付画像

Apple Watch のバンドは赤と黒の模様になっているため、アナログの文字盤で合いそうなものを選んで採用しているのだけど、実はどれもイマイチだ。Apple Watch の faces は、正直に言えばロクなものがない。時計のメーカーに2年ほど修行に行った方がいいのではあるまいかとすら思うほど、プロダクト・デザインとしての基本ができていない文字盤デザインがあまりにも多いからだ。Apple のデザイナーには精進を期待したい。っていうか、コンポーネントを自由にカスタマイズできさえすれば、無能の成果に依存し続ける必要なんてないわけで、自分で、素晴らしいかどうかはともかく最低でも「正しい」デザインの文字盤は作れる自信がある。

とにかく Apple Watch の文字盤で根本的に問題があるデザインが多いのは、長針と短針の視認性が悪いということだ。これは、もちろんインデクスや文字盤の背景とのかかわりもある。デザインとは、まさしくプロダクトというまとまりについての「設計 (design)」なのであるから、その評価の基準は必ずプロダクトとしての全体最適であり、部分最適であってはいけないからだ。

たとえば、上の文字盤で左側は「世界時計(world watch)」というカテゴリーからバンドのカラー・スキームに近いものを選んでいる。complication が右寄りに設定されている理由は、既に説明したことだが、腕時計というものはシャツの袖などで隠れやすいので、仮に文字盤の左半分が袖で隠れても日付とバッテリー量が分かるように、右へ設定している。僕が文字盤に表示させたい complication は、あとは心拍数くらいのものだし、それはタップしないと機能しないのだから、左側にあって袖で隠れていても問題ないわけだ。後は文字盤そのもののデザインだが、まず周囲を取り囲んでいる地名はどうでもいいものなので、なるべく目立たないようにコントラストが低くて暗い色となるように選んだ。しかし、その内側にある白文字で並ぶインデクスが困ったものであり、これは24時間制でインデクスが回転するようになっている。つまり、最下部に固定された白いマーカー(△)に合っている数字が24時間制の「時」を表すというわけである。このような直感や習慣に反するしくみや見え方の要素が含まれていること自体に強い違和感を覚えるのだが、これが目立たないようインデクスが黒字になっている(それもコントラストが低いから、インデクスとしてはどうかと思うのだが)パターンも選べるのだけれど、それは配色がバンドに合っていないという問題がある。

これらに加えて、もっと問題があると思うのは、この短針と長針の描き方だ。どうして黒い針を白で縁取りするような描き方になっているのか。これは、この世界時計というカテゴリーでは固定された描き方なので、他の色パターンを選ぼうと変えようがない。だが、僕にはこういう針の描き方は非常に見え辛いし、更に言えば長針と短針の区別もつきにくいと思う。Apple Watch の文字盤は、ユーザの目線を感知したときだけ明るくなって配色も変わって電池の消費を節約できるという設定があるので、目線を外したときの暗い配色だと針が白だけで描かれており、僕は寧ろそちらの方が視認性が高いと思っているほどだ。しかし、今度は一色で針を描くと、短針と長針が重なるような時刻で両社を見分けづらくなるという問題があるため、どちらかの色やトーンを変えたり縁取りするといった工夫は必要だろう。あるいは、ご承知のとおり現実に長く使われてきた腕時計の文字盤がそうであるように、長針と短針の太さを変えたり、長さの違いをもっと極端に変えたり、あるいは短針にだけ矢印の先端みたいなあしらいを追加するのも有効だろう。だが、Apple Watch の文字盤に、そういうことを試行錯誤した形跡が殆ど見られないのである。

世界時計に比べたら、右の「シンプル」というタイプの文字盤は、その名のとおり単純なデザインだが、やはりプロダクト・デザインとしては世界時計よりも優れている。あまりに面白みがないので常用はしていないものの、寝るときは「面白み」などどうでもいいことなので、これに切り替えている。そして、こちらの文字盤は、僕がこれまで世界時計について指摘した欠点を、ほぼクリアしていると言ってよいだろう。ただし、長針と短針が重なったときの視認性という課題は残っているため、そこが改善されたら、ひとまずこのカテゴリーは他人にも勧められる。個人的には、やはり面白みという点で遊ぶ余地は残っていると思うから、配色、特に明暗を反転させるような配色にも挑戦してもらえたらありがたい。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る