2018年09月14日に初出の投稿

Last modified: 2018-09-16

この講談社学術文庫で再刊されている「興亡の世界史」というシリーズの本は、少しお金を足して単行本を(もちろん古本でもいいが)買った方がいいと思うんだよね。文庫版になると、「興亡の世界史」はどうなのか知らないが、足立巻一さんの『やちまた』がそうであるように写真が付録から外されたりする場合があるし、単行本よりも字が小さくなるのは殆どの場合において避けられないことなので(もちろん例外もある)、読みづらくなるだけだ。

文庫版や文庫本の長所というのは、第一にその小ささであり、第二に値段が安くなることであり(というか文庫化してマージンが少なくなってもいいくらい、先に単行本で売れて儲かっていたらの話だが)、第三に文庫化したタイミングで最新の訂正が加えられることにあろう。確かに講談社学術文庫として再刊されて、それぞれの本は単行本の定価から 1,000 円ほど安くなっている。そして昨今ではデジタルデータで版下を作るから、増刷や再刊のタイミングで訂正するのは著しく簡単になっている。したがって、これらの二点だけでも文庫本として再刊されることに一定の評価はしていい。しかし、小さくなるという理屈には、昔から言われていたほどの効果はないと思う。よく「ポケットに入る」とか言ったものだし、なるほど僕はポケットに文庫本を入れて愛読していた時期はある。しかし、もう昨今の文庫本、しかも講談社学術文庫として出版されている幾つかの文庫本は、ポケットに入らないどころではない。寧ろ、なまじっか文庫本の大きさなのに分厚くなってしまって、鞄に入れると邪魔なだけである。

それに、単行本だと大きいので日本の住宅事情ではどうのこうのと言う人がいるけれど、僕には多くの人が「そのていどのこと」で困惑しているとは到底思えないのである。本が多すぎて困るなどというのは、僕らのような(元)プロパーの学術研究者や、好きで本を買い集めている読書家や、いわゆる物書きだけであろう。書物を買う圧倒的多数の人々は、自宅に本が多すぎて困るほど本など買わないし読まないし、だいいちすぐに古本屋へ売ってしまったり捨てる人も多いのだ。よって、少なくとも文庫本が小さいということの利点は、持ち運びやすいということであって、住宅事情など大して関係が無いと思う。

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