Scribble at 2023-02-24 15:26:56 Last modified: 2023-02-24 15:49:22

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テレワークを導入するにあたって検討したいのは「サテライトオフィス」の開設です。サテライトオフィスを開設すれば、会社以外の多拠点で、会社と同様の設備を利用できることから、従業員はより効率的に、生産性高く、業務を進められます。また、企業としては、サテライトオフィスの開設経費を抑えるためにも、できるだけ補助金制度を利用したいところです。利用できる補助金制度の内容を事前に把握しておき、効果的に活用しましょう。

サテライトオフィス開設で活用できる補助金・助成金制度とは?

テレワークを導入している会社には、サテライト・オフィスとして支店を地方に作りませんかとか、そもそも事業所(本社)を移転しませんかという引き合いの話がくる。弊社にも幾つかの地方自治体から企業誘致の相談や、その可能性について尋ねるようなメールなりフォームからのリクエストがきている。しかし、「分散化 decentralization」だの「多様性 diversity」だのといった妄想にもとづいている限り、このような傾向は一過性のブームで終わると僕は思う。

理由は簡単である。中小企業には移転したり分散することには重大なリスクがあって、そもそもそんなことを金儲けとは関係なく実行するべきではないのだ。そして大企業には莫大な投資予算がかかるため、これも株主や経営陣を十分な理由で説得することは不可能だと思う。もちろん、経営陣や株主など大半のステークホルダが前段で述べた妄想に取りつかれているようなキチガイ集団であれば別だが。

上の記事のように、助成金が出るから負担は少ないなどと言う人は、だいたいにおいて事業所の移転に際しての実務に関わったことがないプログラマとかデザイナーとか営業マンといった人たちだ。イノベーションだろうとクリエイティブだろうとロジックだろうと、ともかく脳みそや口先だけで仕事ができると思っている手合いである。しかし、どこの地方自治体の助成制度を調べても似たようなものだが、その内実はコア・ワーキングのしょーもない場所を借りる賃料のしかも一部を1年ていど助成するというだけでしかない。そして、政府や自治体の助成金制度の大半は後払いである(金を使ったという事実が証拠として提出されない限り補助しないという建前である。何と言っても原資は税金であり、国家官僚だろうと自治体職員だろうと彼らが働いて稼いだ金でもなんでもないから、粗末には扱えないというわけである)。よって、先に費用を増資や借金で捻出できない大半の中小企業にとっては、そんなポーズだけの助成など論外なのである。

そして、大企業にとってはなおさら、地方自治体の助成金なんてクソの役にも立たない金額である。大手の企業で地方移転したりサテライト・オフィスを構えているのは、大半の従業員が実際に地方へ移転したいと望んでいる例外的な会社であるか、あるいは我らが竹中平蔵率いるパソナのように、本社移転についてこない人材を実質的にレイ・オフすることが目的で移転するような血も涙もない連中くらいであろう。それに、これだけテレワークやリモート・ワークが導入されていれば、逆に言うと「本社だろうと事業所だろうと、そもそも移転なんてしなくてもいいじゃないか」という理屈になるのが当然である。既に多くの従業員が本社や事業所になんて出てこない。どうしてこの状況で本社を地方へ移転させる必要があろうか。

それから、いま半分は冗談でパソナの事例を出したのだが、多くの企業にとっては東京や大阪から鳥取や山形といった水道や電気が使えるのかどうかも分からない辺境地域に移転するとなると、当たり前だが何人かの社員は退職してしまう筈である。その欠員をどうやって埋めるのか。多くの会社の実務において、この人材登用なり採用のコストというのは、経営者が思っているよりも深刻なほど無駄金がかかるのである。なぜなら、たいていの会社では採用して定着する確率なんて3割と言われているように、ひとたび社員が止めてしまうと、10年以上は安定して働いてくれるような人材を採用するために、それこそ皮肉な話だが10年近くの採用しては辞められてという無駄な繰り返しが起きるからである。一人の人材が10年かかって習得し向上させる業界知識や技能を「1」とすれば、定着して働き続けてくれる人材を採用するにも、平均して3年ごとに辞めてしまうとすれば、3年かかって元の人材の「1/3」の知識や技能しか身に着いていない時点で辞めてしまうような連中ばかりを何度も繰り返して雇用しなおすのだ。10年たって元の人材と同じような人物を採用できたとしても、その人が元の人材と同じ「1」に育つまで10年かかるのだから、結局は元のレベルに戻るまで合計で20年もかかる。これは小学生にでも分かる生産性の低下であろう。

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