Scribble at 2022-11-29 11:26:28 Last modified: unmodified
いきなり数の羅列で驚くかもしれないが、これは有名な "illegal prime" の一つである。DVD のコピー・プロテクションを破るプログラムのソース・コードを色々なやり方を工夫して、わざと素数の一つになるよう変換した結果が、この巨大な素数である(もちろん、高校でも教わる場合があるように、代数学の初等的な証明で素数は無限個あるのだから、この程度の桁数で「巨大」などと評価するのは、あくまでもヒトという矮小な生物の知能という限界においてである)。ウィキペディアでも掲載されているくらいなので、もちろん実際にアメリカの法律で掲示することが違法だとされているわけでもないし、DVD の規格団体から訴えられるわけでもないのだが、潜在的には違法行為に使える情報であることに変わりはないため、"illegal" と呼ばれている。
素数を列挙するという公の目的があれば、それに寄与するという立場で素数の一つを掲載することには、恐らく問題がない。問題があるのは、その素数を一定の処理で変換すると違法な用途のコンピュータ・プログラムになってしまうことにある。したがって、訴えられるのは変換の処理手順の方でもありえるわけだが、しかし gzip のデータ圧縮アルゴリズムそのものを違法とすることはできない。こういうわけで、簡単に言ってしまえば「脱法的」な結果であり、個々の要素はもちろん、それらの組合せと結果を罰することもできないのだろう。
調べてみると、このような事例は他にもあって、素数だけではなく "illegal numbers" としても幾つかの数が知られている。たとえば、中国で使われている検索エンジンのサービスでは、89, 6, 4 という数字を同時に検索することは認められていないという。なぜなら、天安門事件の日付(1989年6月4日)だからだ。