Scribble at 2023-11-01 10:22:45 Last modified: 2023-11-01 10:29:02

仕事で英米圏のサイトを利用することが多いし、社内でも通達や告知に関連して英米圏のサイトにあるページをリンクすることがあるため、何年かに一度くらいの割合で英語の勉強について質問されることがある。そういう場合に、かなり頻度の高い質問は、「1日にどれくらいの単語を覚えたらいいのか」という、僕に言わせれば愚問の一種だ。

このような質問をしてしまうのは、1日に何個ずつ単語を覚えていけば、或る期間で一定の数の単語を身につけられると期待でき、そしてその数があれば何かできると想像するからなのだろう。でも、英語で仕事をするということ、なかんずく英語で生きるということに、そういう基準とか目標とかペースなんてものはない。その日に覚えられる時間や余裕があれば、いくらでも学べばよいのである。1日20個とか、そんな大して意味のないペースを決める必要はないし、ペースを決めていないと私は1日に5個ずつしか覚えようとしないのでペースが必要だと心配するようでは、あなたは英語なんて習得する気がもともとないのである。そうであれば、もちろん英語なんてやらなくても人として何か欠陥があるわけでもなし、他にできることは色々あるのだから、自分が本当にやりたいことだとかやるべきことをすればいい。あなたが英語を読み書きできないからといって、誰もバカにする権利などないのである。

しばしば、大学受験には6,000語を覚えたら良いなどと言われたりするが、あの手の馬鹿げたアドバイスも、僕らのようないちおう少しは有名な進学校で学んだ者にとっては、そもそも中学や高校で先生から何度も「こんな数字を気にするな」とアドバイスされているので、何の役にも立たない数字だと知っているのである。そもそも、その6,000語は誰がどうやって選んでいるのか。仮に、全ての受験生が或る出版社から発売されている単語集しか使わないとすれば、大学入試の試験を作成する教員は、その単語集に掲載されて「いない」単語を問題文の作成に採用するだろう。単語集に掲載されていない単語も自主的に調べて覚えるような学生の進学を望むような大学であれば、なおさら決まった単語集の語彙など避けるに違いない。おおよそ生活や仕事の中で使う単語は、性別や年令や居住地域に関係なく最大公約数と言えるようなコーパスがあるとは思うが、そういう単語は最近の英英辞典が語義の記述に採用している基本語彙が2,000語ていどであることから分かるように、6,000語もない。すると、後の4,000語は人によって選択が異なるのだから、大学入試一つを事例にとってみても試験問題を作成する教員の数だけ選択が異なるのは当然であろう。結局、覚えられるだけの単語を覚えていく他にないのだ。そして、本当に英語で何かしたいという意欲があるなら、当たり前の話だが大学受験に必要だとされる6,000語を覚えたからといって、そこで終わりというわけにはいかないのである。

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