Scribble at 2023-12-15 11:21:59 Last modified: 2023-12-15 11:26:30

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分野別の科学哲学3

素人というのは、僕らのようなアマチュアやプロパーとは違って言葉の扱い方に責任を負っていないので、デタラメに理解したかどうかを自己評価する基準を持っていないし、持とうともしない。そこが、門外漢とそうでない人々を分けている一つの指標にもなろう。したがって、同じく素人からみればデタラメな言葉の使い方をしてるかどうか、素人には比較するための基準がないのだから、素人どうしで話したり議論している限りは、「それって、あなたの意見ですよね?」の応酬にしかならない。オタク議論というものが、素人ではなくともアマチュアのレベルですら概して建設的な成果を出さないのは、根本的にはそれが理由である。

それでも、上記のようなページを素人が検索エンジンで見つけて眺めて、「分野別の科学哲学」として携帯電話の一覧や横浜DeNAベイスターズの選手一覧といった項目が列挙されているのを見たら、いくらなんでも怪訝な印象は起きることだろう。まさか、日本のプロ野球選手が科学哲学者であるなどと考える人はいるまい。よって、こういうページは僕らのような科学哲学者はもとより、科学哲学というキーワードになにほどか興味があるというくらいの素人から見ても、「なんだこりゃ?」ということになる。でも、素人から見ても奇妙なコンテンツのページというものを、得てして素人というものは作って公開までしてしまう。

それは、単に特定の分野の門外漢というだけではなく、そもそも教養や学識(事実上は学歴と言ってもいい)がないという、更に制限の多い条件でものを書いたり考えている人が多いからだ。そして、そういう人々に限って、自分が制約の多い条件でものを考えたり書いているという自覚がなかったりする。なぜなら、中学すら出ていなくても、商売したり、子供を育てたり、ともかく生きていくのに何の支障もないからだ。したがって、こういうデタラメなことを平気で考えたり理解している人がいて、ウェブが普及したことによって、そういう人たちの落書きやメモみたいなものまで検索にヒットすれば学術論文と同列に検索結果へ並ぶこととなるわけである。

僕は、こういうことを「民主的」だとか「サイバー共産主義」などと解釈したり、ましてや歓迎している人たちというのは、はっきり言って無責任だと思う。それは、こういうガラクタみたいな情報が続々と増えていって検索結果に広告と並んでいくことになっても、自分たちはこういうゴミを選ばずに「きちんとしたコンテンツ」を選択できるという傲慢であり、そして選択できない人々のことなど知ったことではなく自己責任であるという、これまたリバタリアンが大好きな梯子外しをやっているにすぎない。つまり、自分たちがステータスを上げたり儲けてゆく時点で利用できた、まだ大きな弊害が起きていない段階での自由から得た恩恵だけを強調して、その後に何が起きていようと知ったことではないという歴史やダイナミズムの軽視ということでもある。そもそも、このサイトって囲碁のサイトだよね。科学哲学というか、デタラメに理数系のキーワードを Google で検索するだけのリンクを大量に並べて、何が「科学哲学」なんだよ。こんなもん、今どき何かの SEO になってるとでも思ってるんだろうか。

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