Scribble at 2021-05-21 15:24:39 Last modified: 2021-05-21 15:29:49

これこれしかじかのジャンルの歌や曲は聴かないと明言する人は、随分と損をしていると思う。そのような(悪い意味での)アカデミズムだとかイデオロギーのようなものは、実際のところ音楽性の是非や良し悪しと何の関係もないのだが、どういうわけか一つの機会に悪い印象を受けたという偶然や些末な理由で、ジャズはどうの、クラシックはこう、演歌はああだと言って、人は特定のジャンルを毛嫌いするようになるらしい。

でも、もちろんヘビメタにも色々あればアフリカ音楽や雅楽にも色々とあるし、誰が演奏したり歌うかによってもパフォーマンスは違う。たまたま CD やレコードに録音したパフォーマンスだけが手に入るパフォーマンスだからといって、その出来栄えだけで作曲や作詞やアレンジを決定的に判断することはできない。生まれてから演歌しか聴いてこなかったという人でも、グレゴリオ聖歌から何かのヒントを得て曲の聴き方が変わるかもしれない(もちろん、その変化が良いものだとは限らないわけだが)し、ジャズのミュージシャンとしてドラムを叩く日々の人がダプ(カザフスタンなどで使われる打楽器)の演奏を聴いて新しい奏法を思いついてもいい。

正直なところ、アシッド・ジャズだ、現代音楽だ、歌謡曲だとレッテルを貼って喜んでいるのは、その自分や自分にとっての権威が勝手に切り取った〈セカイ〉で安住していたいという幼児のような欲求に突き動かされている未熟さを示しているだけだと思う。僕は、そういう未熟さは気に食わないし、聴く曲や歌が〈どういうジャンルなのか〉ということに、もともとあまり関心はない。仮に、その曲や歌の「属しているジャンル」が分かったからといって、そのラベルで検索して他の曲を聴いたところで、満足のゆく成果があるとは限らない。

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